心に響く英語ことわざ（744）米国の石油王ジョン・D・ロックフェラーの名言　Good leadership consists of showing average people how to do the work of superior people.（真のリーダーシップとは普通の人々の潜在能力を最大限に引き出すこと）

“Good leadership consists of showing average people how to do the work of superior people.”

直訳は「良いリーダーシップは、凡庸な人々に優れた人々の仕事をする方法を示すことにある」で、これは、「リーダーシップ」の真の役割は、天才に頼ることではなく、普通の人々の潜在能力を引き出し、高い水準の成果を達成させるシステムと指導を提供することにあるという、ジョン・D・ロックフェラーの深い洞察を表現しています。

ジョン・D・ロックフェラー（John D. Rockefeller）の名言　Good leadership consists of showing average people…の意味

この言葉は、アメリカの実業家、慈善家であり、スタンダード・オイルの創設者であるジョン・D・ロックフェラーが、「経営と人材育成」について述べたものです。彼は、巨大な組織を運営する中で、「優れた人々（superior people）」、すなわち天才やエリートは稀であり、組織の成功は、「凡庸な人々（average people）」の集合的な能力を、いかに最大化するかにかかっていると説いています。

この言葉が意味すること

この名言は、「能力の標準化と仕組みの重要性」を強調しています。

• 「Good leadership consists of showing average people」（良いリーダーシップは、凡庸な人々に示すことにある） ロックフェラーは、「良いリーダー」を、「人々を鼓舞するカリスマ」としてではなく、「教育者」や「仕組みの設計者」として捉えています。リーダーの仕事は、「凡庸な人々」が、「優れた人々」の持つ知識、スキル、作業手順を習得できるように、明確な指導とシステムを提供することにあるとしています。
• 「how to do the work of superior people.」（優れた人々の仕事をする方法を） この部分が、この言葉の核心です。「優れた仕事」とは、「非凡な才能」によってのみ可能なのではなく、「優れたプロセス」、「標準化された手順」、そして「明確な期待値」によって、誰でも再現可能にできるべきだという経営哲学が読み取れます。つまり、リーダーは、「属人的な能力」を「組織的な能力」へと変換する役割を担っているのです。

似た意味の英語のことわざ

• “The greatest good is the knowledge of oneself.” （最大の善は、自己を知ることである。） これはソクラテスの言葉で、ロックフェラーの言葉が持つ、「内面的な真理を探求し、行動に移す」という精神と通じます。
• “Where there is a will, there is a way.” （意志あるところに道は開ける。） これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、優れた仕事をするための指導という意志から開かれます。
• “A journey of a thousand miles begins with a single step.” （千里の道も一歩から。） これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、凡庸な人々を指導するという小さな行動かもしれません。

似た意味の日本語のことわざ

• 「口は災いの元」（くちはわざわいのもと） 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
• 「為すべきを為す」（なすべきをなす） 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。

ジョン・D・ロックフェラー（John D. Rockefeller）の波乱万丈な生い立ち

ジョン・D・ロックフェラー（1839-1937）は、アメリカの実業家、慈善家であり、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、石油産業を支配したスタンダード・オイルの創設者です。彼は、史上最も裕福な人物の一人として知られています。

幼少期とビジネスへの道

1839年、ニューヨーク州の貧しい家庭に生まれました。彼は、幼い頃から、倹約と勤勉という、彼の人生を決定づける価値観を学びました。 彼は、その後、クリーブランドで、穀物取引業を始め、その経営手腕と組織力で、成功を収めました。

スタンダード・オイルの設立と慈善活動

ロックフェラーは、その後、石油産業に目をつけ、1870年にスタンダード・オイル・カンパニーを設立しました。彼は、効率的な生産と垂直統合という、革新的な経営手法で、アメリカの石油市場を独占しました。 彼は、その巨額の富を、「慈善活動（philanthropy）」に投じ、ロックフェラー財団を設立しました。彼は、教育、医学、そして科学といった、多くの分野に、多大な貢献をしました。

晩年と遺産

ロックフェラーは、1937年に97歳で亡くなりました。 ジョン・D・ロックフェラーの生涯は、一人の人間が、その才能と、不屈の精神によって、いかに巨大な富と、影響力を築くことができるかを示す物語です。彼の言葉は、私たちに、真のリーダーシップとは、普通の人々の潜在能力を最大限に引き出すことであるという、深い教訓を与え続けています。

＊＊＊

心に響く英語ことわざ（743）「若きウェルテルの悩み」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言　Correction does much, but encouragement does more.（人を育む最良の手段は、励ましである）

https://www.eionken.co.jp/note/correction-does-much/

心に響く英語ことわざ（745）道教開祖の老子の名言　I have just three things to teach: simplicity, patience, compassion.（簡素、忍耐、慈悲が人生の宝）

https://www.eionken.co.jp/note/i-have-just-three-things-to-teach/

著者Profile

山下 長幸（やました ながゆき）

・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。

・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ：学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか？」など26冊がある。

Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート