- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.11
更新日
2025.10.11

心に響く英語ことわざ(757)仏教の開祖ブッダの名言 Holding on to anger is like grasping a hot coal with the intent of throwing it at someone else; you are the one who gets burned.(怒りを抱き続ける事は他者ではなく自分自身を傷つける行為である)
“Holding on to anger is like grasping a hot coal with the intent of throwing it at someone else; you are the one who gets burned.”
直訳は「怒りに固執することは、熱い石炭を誰か他人に投げつけようとして掴むようなものである。火傷を負うのはあなた自身だ」で、これは、「怒り」という感情の自己破壊的な性質を、鮮やかな比喩を用いて示し、復讐心や憎悪を手放すことの重要性を説く、ブッダ(仏陀)の深い洞察を表現しています。
名言の意味:怒りの自己破壊的な本質
この言葉は、仏教の開祖であるブッダ(釈迦、ガウタマ・シッダールタ)が、「感情の制御と心の平静」について述べたものです。彼は、怒りという感情が、他者を罰することを目的としているにもかかわらず、実際にはその感情を抱いている本人の心身に、最も大きな苦痛を与えるという、感情の皮肉な作用を指摘しています。
鍵となる要素
- Holding on to Anger(怒りに固執する) これは、一瞬の感情ではなく、根に持つこと、手放さずに抱え続けることを意味します。ブッダは、怒りそのものよりも、怒りを手放さないという執着が、問題の本質であると示唆しています。
- Grasping a Hot Coal with the Intent of Throwing it at Someone Else(誰か他人に投げつけようとして熱い石炭を掴む) 「熱い石炭(hot coal)」は、破壊的な感情、すなわち「怒り」のエネルギーを象徴しています。それを掴むことは、その感情を内面に抱え込む行為です。石炭を投げつける前に、その熱さで火傷を負うのは掴んでいる本人であるように、怒りは、放出される前に、その熱で心を焼き焦がすのです。
- You are the one who gets burned.(火傷を負うのはあなた自身だ。) これがこの教えの核心です。怒りや復讐心を抱き続けることは、他者を傷つける前に、自分自身の精神的な平静、健康、そして幸福を破壊するという、普遍的な真実を断言しています。
この言葉は、心の解放と真の智慧が、「手放すこと」によってのみ得られるという、仏教の重要な教えを端的に示しています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “Resentment is like drinking poison and waiting for the other person to die.” (恨みは毒を飲んで、相手が死ぬのを待つようなものである。) アングロサクソンのことわざで、怒りや恨みが自己破壊的であるという点で、ブッダの教えと完全に一致します。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) 怒りを手放す意志があれば、心の平静という道が開かれるという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 感情的な衝動に流されず、道徳的に正しい行動(怒りを手放すこと)を選ぶという点で通じます。
ブッダ(Buddha)の波乱万丈な生い立ち
ブッダ(ガウタマ・シッダールタ、紀元前563年頃 – 紀元前483年頃)は、古代インドの思想家であり、仏教の開祖です。彼は、王子として生まれながら、苦悩の現実を知り、出家して悟りを開きました。
王子としての生い立ちと出家
紀元前6世紀頃、現在のネパール南部で、シャカ族の王子として生まれました。彼は、若くして、「生・老・病・死」という、人間の避けられない四苦を目の当たりにし、その解決を求めて、王子の地位を捨て、出家しました。 彼は、その後、苦行を試みましたが、それが真の悟りへの道ではないと知り、中道という、苦行と快楽の極端を避ける道を歩みました。
悟りから教えの伝播へ
彼は、その後、菩提樹の下で瞑想に没頭し、ついに悟りを開き、「仏陀(目覚めた人)」となりました。 彼の教えは、「苦からの解放」を目指すものであり、怒りや執着といった煩悩を手放すことの重要性を説きました。
ブッダの生涯は、精神的な探求と、苦からの解放の道を、自らの経験を通じて実践した物語です。彼の言葉は、私たちに、怒りを抱き続けることは、他者ではなく自分自身を傷つける行為であるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(756)米国建国に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 Remember not only to say the right thing in the right place, but far more difficult still, to leave unsaid the wrong thing at the tempting moment. (感情が理性を上回る時、間違ったことを言わない)
https://www.eionken.co.jp/note/remember-not-only-to-say-the-right-thing/
心に響く英語ことわざ(758)儒教開祖の孔子の名言 Do not impose on others what you yourself do not desire.(己の欲せざるところ、人に施すことなかれ)
https://www.eionken.co.jp/note/do-not-impose-on-others/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。