- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.20
更新日
2025.10.21

心に響く英語ことわざ(776)儒教開祖の孔子の名言 I hear and I forget. I see and I remember. I do and I understand.(真の学習とは、頭の中だけで完結するものではなく、体を通じた経験によって達成される)
“I hear and I forget. I see and I remember. I do and I understand.”
直訳は「私は聞き、そして忘れる。私は見て、そして覚えている。私は行い、そして理解する」で、これは、知識の獲得において、「聞く(受動)」よりも「見る(視覚的)」が優れており、「見る」よりも「行う(実践的)」ことが真の理解に不可欠であるという、孔子(Confucius)の深い学習哲学を表現しています。
名言の意味:経験による理解の三段階
この言葉は、古代中国の思想家であり、儒教の創始者である孔子が、「効果的な学習と知識の定着」について述べたものです。これは、知識が浅い段階から深い段階へと進化する、三つのレベルの経験と理解の連鎖を示しています。
鍵となる三段階
- I Hear and I Forget (私は聞き、そして忘れる) – 最も浅い知識
- 聞く(hear)という行為は、最も受動的な情報収集の方法です。情報は一時的に記憶されますが、定着せず、すぐに忘れてしまいます。これは、「知識」の最初の入口であり、脆い状態を示します。
- I See and I Remember (私は見て、そして覚えている) – 視覚による定着
- 見る(see)という行為は、聞くよりも能動的で、視覚的な情報は記憶に強く訴えかけます。イメージや文脈が加わることで、情報は一時的ではなく保持されます。これは、知識を「記憶」に固定する段階です。
- I Do and I Understand (私は行い、そして理解する) – 真の理解(洞察)
- 行う(do)という行為は、最も能動的で実践的な学習です。自ら体験し、試行錯誤し、失敗することで、抽象的な知識が具体的な洞察(理解:understand)へと昇華します。孔子は、真の知恵や技術は、実践を通じて血肉となることによってのみ得られると説いています。
この名言は、真の学習とは、頭の中だけで完結するものではなく、体を通じた経験によって達成されるという、実践主義の哲学を伝えています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “An ounce of practice is worth a pound of precept.” (実践の1オンスは、教訓の1ポンドに値する。) 理論よりも実践の価値を強調する言葉で、「行うと理解する」という教えと完全に一致します。
- “The proof of the pudding is in the eating.” (プリンの証明は食べることにある。) 物事の価値や真実は、議論ではなく実際に行うことによって証明されるという意味です。
似た意味の日本語のことわざ
- 「習うより慣れろ」(ならうよりなれろ) 理屈を学ぶことよりも、繰り返し実践して慣れることの重要性を説き、「行うと理解する」という教えと通じます。
孔子(Confucius)の波乱万丈な生い立ち
孔子(紀元前551年頃 – 紀元前479年頃)は、古代中国の春秋時代の思想家であり、儒教の創始者です。
幼少期と教育への信念
紀元前551年頃、魯国(ろこく)で生まれました。彼は、その後の人生で、社会の混乱を道徳と教育によって正すことを目指しました。 彼は、身分にかかわらず誰でも教育を受けるべきであるという信念を持ち、多くの弟子を教えました。彼の教育方法は、一方的な知識の伝達ではなく、弟子たちが自ら考え、実践することを促すものであり、この名言に示された「実践を通じた理解」を重視していました。
諸国遍歴と遺産
孔子は、その後、自らの理想とする政治を実現するため、約14年間にわたって諸国を旅し、困難な経験を重ねました。この実体験こそが、彼の哲学を単なる理論ではなく、生きた知恵へと深めたと言えます。
孔子の生涯は、自らの哲学を実践し、教えを行動で示すことに情熱を注いだ物語です。彼の言葉は、私たちに、真の学びは教室の中ではなく、現実の世界で自ら手を動かすことによって完成するという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(775)ブッダの名言 It is a man’s own mind, not his enemy or foe, that lures him to evil ways.(真の危険は欲望、怒り、無知といった煩悩に満ちた制御されていない心にある)
https://www.eionken.co.jp/note/it-is-a-mans-own-mind/
心に響く英語ことわざ(777)近代科学の祖でイギリスの哲学者フランシス・ベーコンの名言 Young people are fitter to invent than to judge; fitter for execution than for counsel; and more fit for new projects than for settled business.(若者の情熱と実行力を生かすことが重要)
https://www.eionken.co.jp/note/young-people-are-fitter/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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