- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.05
更新日
2025.12.05
心に響く英語ことわざ(885)米国独立に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 If you desire many things, many things will seem few.(足るを知る)
If you desire many things, many things will seem few.
直訳は「もしあなたが多くのものを望むなら、多くのものさえ少なく見えるだろう」で、これは、アメリカ合衆国の建国の父ベンジャミン・フランクリンが、「欲望と満足感の相対性」について説いた、幸福の条件に関する逆説的な教訓です。
この名言は、貧しさや欠乏感は、持っている量(客観的な事実)ではなく、欲している量(主観的な欲望)によって決まるという心理的な真理を突いています。欲望が肥大化すれば、いくら豊かになっても「まだ足りない(few)」と感じてしまい、永遠に満たされないことを警告しています。
名言の意味:欲望が増えれば、豊かさは色あせる
フランクリンは、経済的な成功者でありながら、「足るを知る」精神を重んじました。彼は、幸福の鍵は「収入を増やすこと」よりも、「欲望を管理すること」にあると見抜いていました。
鍵となる心理的メカニズム
- If You Desire Many Things(もし多くのものを望むなら) これは、基準値(ハードル)を上げてしまう行為です。あれもこれも欲しいという状態は、心の中に巨大な「穴」を掘っているようなものです。
- Many Things Will Seem Few(多くのものさえ少なく見えるだろう) ここが核心です。客観的には「多くのもの(many things)」を手に入れていても、欲望の穴がそれ以上に大きければ、それらは「ほんの少し(few)」にしか見えません。
- 例: 年収が上がっても、欲しい家や車のグレードを上げてしまえば、結局「お金が足りない」と感じるのと同じです。
この名言は、真の豊かさとは、所有することではなく、「多くを望まないこと」によってのみ達成されるという、心の持ち方を説いています。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “It is not the man who has too little, but the man who craves more, that is poor.” (貧しいのは、あまりにも持っていない人ではなく、もっと欲しがる人である。) 古代ローマの哲学者セネカの言葉。フランクリンの思想と完全に一致しており、貧困を「心の状態」と定義しています。
- “He who is not satisfied with a little, is satisfied with nothing.” (少しのもので満足できない者は、何ものによっても満足できない。) 快楽主義と誤解されがちなエピクロスの言葉ですが、彼もまた「欲望の制限」こそが幸福への道だと説きました。
似た意味の日本語のことわざ
- 「足るを知る」(たるをしる) 意味: 身の程をわきまえ、現状に満足すること。これができれば、少ないものでも「多い(十分)」と感じることができます。
- 「欲の熊鷹、股裂ける」(よくのくまたか、またさける) 意味: 過度な欲望を抱くと、結局は災いを招くという意味で、「desire many things」の結末を警告しています。
ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)の生い立ち
ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)は、アメリカの政治家、科学者、発明家であり、100ドル紙幣の肖像でもあります。
- 実業家としての成功と悟り フランクリンは、勤勉と倹約によって莫大な財産を築きましたが、彼自身は決して贅沢に溺れることはありませんでした。彼は『自叙伝』や『プア・リチャードのアルマナック』の中で、常に「欲望をコントロールすること」の重要性を説き続けました。
- 幸福の計算式 彼は合理主義者であったため、幸福を一種の「分数(分子=所有/分母=欲望)」のように考えていたフシがあります。分母(欲望)が無限に大きくなれば、分子(所有)をどれだけ増やしても値(幸福感)はゼロに近づいてしまうことを、彼はこの名言で数学的な正しさをもって指摘しているのです。
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心に響く英語ことわざ(884)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Do not give in too much to feelings. A overly sensitive heart is an unhappy possession on this shaky earth. (鈍感力)
https://www.eionken.co.jp/note/do-not-give-in-too-much-to-feelings/
心に響く英語ことわざ(886)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Error is acceptable as long as we are young; but one must not drag it along into old age.(過ちから学ばず、修正しないまま歳をとってはならない)
https://www.eionken.co.jp/note/error-is-acceptable-as-long-as-we-are-young/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

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