- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.11.19
更新日
2025.11.19
心に響く英語ことわざ(853)道教開祖の老子の名言 If you do not change direction, you may end up where you are heading.(勇気をもって「方向転換」し、本来の自然で健全な方向へと自己を導くべき)
“If you do not change direction, you may end up where you are heading.”
直訳は「もし、あなたが方向を変えないなら、あなたは向かっている場所に辿り着くかもしれない」で、これは、道家思想の創始者である老子が、「行動の軌跡と未来の結果の必然性」について説いた、人生の方向性に関する警告と自己責任の教えです。
この名言は、現在の行動や習慣が将来の結果を決定づけるという普遍的な法則を示しています。もし今、望まない結果へと向かっていると感じるなら、その流れを断ち切るためには、「方向(direction)」を変えるという能動的な変化が必要であるという、内省と行動の重要性を表現しています。
名言の意味:現在地を変えるには、行動を変えよ
この言葉は、老子の「無為自然(あるがままに任せる)」という思想と矛盾するように見えますが、実際は、自らの望まない結果を招く習慣や行動パターンに「自然に任せる」ことへの警告です。本当に変化を望むなら、まず行動の方向を意識的に変えるべきだという教訓です。
鍵となる要素
- Where You Are Heading(向かっている場所) 現在の行動パターン、習慣、思考の傾向が続いた場合に辿り着くであろう「必然的な未来」を指します。もしその未来が望ましくないなら、この状態は警告的なものとなります。
- If You Do Not Change Direction(もし、あなたが方向を変えないなら) 変化を起こすことは、現状維持の慣性に抵抗するため、意志とエネルギーを必要とします。方向を変えるという行為は、意識的に習慣や選択を修正することを意味します。
- You May End Up…(辿り着くかもしれない) 「may」という言葉は、未来が確実であるわけではないが、その可能性が極めて高いという確率的な必然性を示唆しています。そして、その結果に対する責任は、「方向を変えなかった」あなた自身にあることを暗に示しています。
この名言は、目的地を変えるためには、その経路を変えるしか方法がないという、行動と結果の因果関係を明確に示した、自己啓発の根本原則とも言える教訓です。
類似の名言と教訓
似た意味の英語の名言
- “Insanity is doing the same thing over and over and expecting different results.” (狂気とは、同じことを何度も繰り返して、異なる結果を期待することだ。) アルベルト・アインシュタインの言葉とされ、「方向を変えない」ことの愚かさを痛烈に批判しています。
- “The path of least resistance is the path of the river and the road, but not the path of growth.” (最も抵抗の少ない道は川や道路の道であるが、成長の道ではない。) 現状の方向(least resistance)に留まることが、望む成長(desired destination)に繋がらないことを示唆しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「業は変えることができる」(ごうはかえることができる) 意味: 仏教的な表現で、過去の行動から作られた運命や習慣(業)も、現在の努力や方向転換によって変えることができるという老子の思想と共通する教訓です。
- 「行き先は今、選ばれている」(ゆきさきはいま、えらばれている) 意味: 未来の目的地は、遠い将来の夢でなく、今この瞬間の日々の選択(方向)によって決定されつつあるという意味で、自己責任と現在の行動の重要性を強調しています。
老子(Lao Tzu)の生い立ち
老子(紀元前6世紀頃)は、古代中国の春秋時代の思想家であり、道家思想の創始者です。
老子の教えは、自然の流れに従う「道(タオ)」を重んじますが、この名言は、人間が無意識のうちに作り出してしまう悪い習慣や方向へと流されることへの批判でもあります。彼は、人が自らの内面と向き合い、不自然で不健全な方向への流れを見たときは、勇気をもって「方向転換」し、本来の自然で健全な方向へと自己を導くべきだと教えています。道に従うことは、ただ流されることでなく、自分の進路が正しいかを常に点検していく、意識的なプロセスなのです。
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心に響く英語ことわざ(852)「ファウスト」で有名なドイツの文豪ゲーテの名言 Every spoken word arouses our self-will.(対話において人間のプライドや自尊心への配慮が重要)
https://www.eionken.co.jp/note/every-spoken-word-arouses/
心に響く英語ことわざ(854)米国独立に尽力した第三代大統領トーマス・ジェファーソンの名言 Ignorance is preferable to error, and he is less remote from the truth who believes nothing than he who believes what is wrong. 真実への道を阻むものは、「知らないこと」でなく、「間違ったことを知っていると信じ込むこと」
https://www.eionken.co.jp/note/ignorance-is-preferable-to-error/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。

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