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公開日
2025.10.16
更新日
2025.10.16

心に響く英語ことわざ(767)インド独立に尽力したマハトマ・ガンジーの名言 Increase of material comforts, it may be generally laid down, does not in any way whatsoever conduce to moral growth.(足るを知る)
“Increase of material comforts, it may be generally laid down, does not in any way whatsoever conduce to moral growth.”
直訳は「物質的な快適さの増加は、一般的に言えることだが、いかなる方法によっても道徳的な成長に貢献することはない」で、これは、「真の幸福」や「人間の進歩」は、外部の豊かさではなく、内面の倫理的な発展によってのみ測られるという、マハトマ・ガンジーの深い洞察を表現しています。
名言の意味:物質的豊かさと道徳的成長の分離
この言葉は、インドの独立運動の指導者であるマハトマ・ガンジーが、「文明と精神性」について述べたものです。彼は、西洋の物質主義的な進歩に対する批判として、生活の利便性が向上しても、それは人間の倫理的な質とは無関係であり、むしろ精神的な衰退を招く可能性があると警告しています。
鍵となる要素
- Increase of Material Comforts(物質的な快適さの増加) これは、富、技術的な進歩、贅沢な生活、そして肉体的な苦痛を減らすためのあらゆる外部的な手段を指します。ガンジーは、これらの増加が文明の目標とされることに対し、疑問を投げかけています。
- Does Not in Any Way Whatsoever Conduce to Moral Growth(いかなる方法によっても道徳的な成長に貢献することはない) これが、この教えの核心的な主張です。「道徳的な成長(Moral Growth)」とは、自己規律、非暴力(アヒムサー)、真実の追究、そして他者への奉仕といった内面的な美徳の発展を指します。 ガンジーは、外部の快適さに依存する生活は、内面の努力を怠ることにつながり、真の成長を妨げると見ていました。むしろ、質素な生活と自発的な制限こそが、道徳的な訓練を可能にする土台であると考えました。
この名言は、真の豊かさを内面に求めるべきであり、外的な状況によって心の状態が左右されるべきではないという、彼の非暴力哲学の基盤を示しています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) ソクラテスの言葉で、真の価値が内面の探求にあるという点で、ガンジーの思想と通じます。
- “Happiness resides not in possessions, and not in gold, happiness dwells in the soul.” (幸福は所有物にあるのでもなく、金にあるのでもなく、魂に宿る。) 古代ギリシアのデモクリトスの言葉で、物質的な豊かさと精神的な幸福を明確に分離する点で、ガンジーの主張と一致します。
似た意味の日本語のことわざ
- 「足るを知る」(たるをしる) 物質的な欲望に際限なく追われるのではなく、現状に満足することが精神的な幸福につながるという点で、この教えと深く通じます。
マハトマ・ガンジー(Mahatma Gandhi)の波乱万丈な生い立ち
マハトマ・ガンジー(1869-1948)は、インドの独立運動の指導者であり、「非暴力(アヒムサー)」という独自の哲学で、イギリスの植民地支配から、インドを独立させました。
幼少期と南アフリカでの闘争
1869年、インド西部のグジャラート州で、敬虔なヒンドゥー教徒の家庭に生まれました。彼は、その後、イギリスへ渡り、法律を学びました。 彼は、その後、南アフリカへ渡り、そこで、人種差別に直面しました。この経験が、彼に「サティヤーグラハ(真理の把持)」という、非暴力の抵抗運動の哲学を確立させました。彼は、この運動を通じて、自発的な貧困と精神的な鍛錬こそが、真の力であると学びました。
インド独立運動と遺産
ガンジーは、その後、インドへ帰国し、インド独立運動を指導しました。彼の非協力運動や塩の行進は、物質的な力に頼らず、精神的な力によって巨大な帝国に対抗するという、彼の信念の実践でした。 彼の生涯は、極度の簡素と自己規律に基づき、精神的な豊かさを物質的な豊かさの上に優先させて生きた物語です。
ガンジーの言葉は、私たちに、文明の真の進歩は、GDPの成長や技術の発展ではなく、一人ひとりの道徳的な意識の向上によってのみ測られるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(766)道教始祖の老子の名言 The key to growth is the introduction of higher dimensions of consciousness into our awareness.(真の成長は自分自身の意識を高めることにある)
https://www.eionken.co.jp/note/of-higher-dimensions-of-consciousness-into-our-awareness/
心に響く英語ことわざ(768)実存主義の父でデンマークの哲学者セーレン・キェルケゴールの名言 A man who as a physical being is always turned toward the outside, thinking that his happiness lies outside him, finally turns inward and discovers that the source is within him.(真の幸福は自分自身の内面に向かう勇気によってのみ発見される)
https://www.eionken.co.jp/note/a-man-who-as-a-physical-being/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。