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公開日
2025.09.19
更新日
2025.09.19

心に響く英語ことわざ(698)古代ギリシアの哲学者ソクラテスの名言 It is not living that matters, but living rightly.(正義と道徳に基づいた生き方)
“It is not living that matters, but living rightly.”
直訳は「重要なのは生きることではなく、正しく生きることである」で、これは、人生の長さや、物質的な豊かさといった「量」ではなく、「質」、つまり、正義と道徳に基づいた生き方こそが重要であるという、ソクラテスの深い洞察を表現しています。
ソクラテス(Socrates)の名言 It is not living that matters…の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者であるソクラテスが、「人生における真の価値」について述べたものです。彼は、人生の目的が、ただ息をすることや、存在することにあるのではなく、善く、そして正しく生きることにあると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「道徳的な生き方の重要性」を強調しています。
- 「It is not living that matters」(重要なのは生きることではない) ソクラテスは、この言葉で、「単なる生存」を否定しています。彼は、どれほど長く生きても、その人生に道徳的な意味がなければ、それは無価値であると考えていました。
- 「but living rightly.」(しかし、正しく生きることである) この部分が、この言葉の核心です。ソクラテスは、「正しく生きる(living rightly)」という行為に、人生の真の価値を見出しています。この「正しく生きる」とは、「善」と「徳」に基づいた行動をすることです。彼は、富や地位といった外的なものよりも、「魂」の美しさを磨くことこそが、真の幸福につながると説いていました。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これは、ソクラテス自身の言葉で、自分を知り、道徳的な行動をすることが、真の善につながるという点で、彼の思想と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、正しく生きるという意志から生まれます。
- “To be a man is to be responsible for the self.” (人間であるとは、自分自身に責任を持つことである。) これは、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの言葉で、自分の生き方に対する責任を持つことの重要性を示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、ソクラテスの言葉とは直接的な関連性はありません。
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
ソクラテス(Socrates)の波乱万丈な生い立ち
ソクラテス(紀元前469年頃 – 紀元前399年)は、古代ギリシアの哲学者であり、「西洋哲学の父」と呼ばれています。彼は、著作を一切残しませんでしたが、弟子のプラトンやクセノフォンの著作を通じて、その思想が後世に伝えられました。
幼少期と哲学への道
紀元前469年頃、アテナイで、石工の家庭に生まれました。彼は、その生涯を通じて、アテナイの街を歩き回り、人々に、「汝自身を知れ(Know thyself)」と説きました。 彼は、「問答法」という、質問と回答を繰り返すことによって、真理に近づくという、独自の哲学的な方法論を確立しました。
裁判と死
ソクラテスは、その鋭い批判精神で、当時のアテナイの権力者たちから反感を買いました。彼は、「青年を堕落させた」、そして「国家が認める神々を信じない」という罪で告発されました。 彼は、裁判で、自らの信念を貫き、死刑を宣告されました。彼は、脱獄を勧められましたが、「悪法もまた法なり」と述べ、毒杯を仰ぎました。
遺産
ソクラテスの死は、彼の思想を、より一層、普遍的なものにしました。彼の弟子であるプラトンは、『ソクラテスの弁明』や『クリトン』といった著作を通じて、彼の思想を後世に伝えました。 ソクラテスの生涯は、真理と正義のために、命を捧げた物語です。彼の言葉は、私たちに、人生の真の価値は、その長さではなく、その生き方にあるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(697)「モナ・リザ」で有名なイタリアのルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの名言 I love those who can smile in trouble…( 信念を貫く)
https://www.eionken.co.jp/note/i-love-those-who-can-smile-in-trouble/
心に響く英語ことわざ(699)実存主義という哲学の基礎を築いたデンマークの哲学者キェルケゴールの名言 Life has its own hidden forces which you can only discover by living.(生きることによる人生の未知の力)
https://www.eionken.co.jp/note/life-has-its-own-hidden-forces/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。