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公開日
2025.10.01
更新日
2025.10.01

心に響く英語ことわざ(734)古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言 It is the mark of an educated mind to be able to entertain a thought without accepting it.(教養とは知的な柔軟性)
“It is the mark of an educated mind to be able to entertain a thought without accepting it.”
直訳は「ある考えを受け入れることなく、その考えを心に留めておけること。これこそが、教養ある精神の証である」で、これは、「教養」や「教育」の本質が、新しいアイデアや反対意見を、感情的にならずに検討するという、知的な柔軟性にあるという、アリストテレスの深い洞察を表現しています。
アリストテレス(Aristotle)の名言 It is the mark of an educated mind…の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが、「教養と知的な態度」について述べたものです。彼は、真に教育された精神(educated mind)とは、自分の信念と矛盾する考えであっても、すぐに拒絶したり、受け入れたりすることなく、公平に検討する(entertain a thought)能力を持っていると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「知的な客観性」を強調しています。
- 「It is the mark of an educated mind」(これこそが、教養ある精神の証である) アリストテレスは、この言葉で、「教養」を、単なる知識の量ではなく、「思考の質」によって定義しています。彼は、真の教育とは、「自制心」と「知的な寛容さ」によって培われると考えていました。
- 「to be able to entertain a thought without accepting it.」(ある考えを受け入れることなく、その考えを心に留めておけること) この部分が、この言葉の核心です。「心に留める(entertain)」という行為は、「検討する、考慮する」という意味を含んでいます。彼は、私たちが、自分と異なる意見や、新しい概念を、感情や、先入観で排除せず、一旦、「受け入れることなく」、「思考のテーブルに乗せる」ことこそが、客観的な判断力と論理的思考の基盤であると断言しています。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これはソクラテスの言葉で、アリストテレスの言葉が持つ、「内面的な真理を探求する」という精神と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、知的な柔軟性を持つ意志から開かれます。
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、異なる考えを検討するという小さな行動かもしれません。
似た意味の日本語のことわざ
- 「異見を聴く」(いけんをきく) 自分と異なる意見を、偏見なく聞くことの重要性を説く言葉です。アリストテレスの思想を的確に表す日本語です。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
アリストテレス(Aristotle)の波乱万丈な生い立ち
アリストテレス(紀元前384年 – 紀元前322年)は、古代ギリシアの哲学者であり、プラトンの弟子であり、アレクサンドロス大王の家庭教師でもありました。彼は、論理学、倫理学、政治学、生物学といった、多岐にわたる分野で、西洋の思想に、深い影響を与えました。
幼少期と哲学への道
紀元前384年、ギリシア北部のスタゲイロスで、マケドニア王国の宮廷医師の家庭に生まれました。彼は、その後、アテナイへ渡り、プラトンの設立したアカデメイアで、学びました。 彼は、アカデメイアで、約20年間、研究と教育に没頭し、プラトンの最も優れた弟子となりました。
思想と学問の確立
アリストテレスは、その後、独自の学派であるリュケイオン(逍遥学派)を設立しました。彼は、その生涯を通じて、多くの著作を執筆しましたが、そのほとんどは、失われています。 彼は、「人間の最高の善は幸福である」という倫理学、そして、「人間はポリス的動物である」という政治学といった、多くの分野で、独自の思想を確立しました。
晩年と遺産
アリストテレスは、アレクサンドロス大王の死後、アテナイでの政治的な状況が悪化したため、故郷へ戻り、そこで、その生涯を終えました。彼は、紀元前322年に62歳で亡くなりました。 アリストテレスの生涯は、一人の人間が、その才能と、飽くなき探求心によって、いかに知識と、世界を体系化することができるかを示す物語です。彼の言葉は、私たちに、教養とは、知的な柔軟性であるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(733)「星の王子さま」で有名なフっランスの作家サン=テグジュペリの名言 The notion of looking on at life has always been hateful to me. What am I if I am not a participant? In order to be, I must participate.(人生を主体的に生き、積極的に関わることが重要)
https://www.eionken.co.jp/note/the-notion-of-looking-on-at-life/
心に響く英語ことわざ(735)アメリカ建国に貢献したベンジャミン・フランクリンの名言 Tricks and treachery are the practice of fools, that don’t have brains enough to be honest.(正直さこそが最も賢明な行動である)
https://www.eionken.co.jp/note/tricks-and-treachery-are-the-practice/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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