- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 250.AIと経済社会
公開日
2026.01.01
更新日
2026.01.01
日本は人工超知能を開発することができるか?
AIの進化は、知能レベルと適用範囲に基づき、2022年の終わりに出現した「特化型(ANI: Artificial Narrow Intelligence):生成AI」、2030年頃に出現するとされる「汎用型(AGI: Artificial General Intelligence)」、そして2040年頃に出現するとされる「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」という、3つの異なるアーキテクチャと能力を持つフェーズで予測されています。これに加えてAIロボティクスの進化も予測されています。今回、日本はASIを開発することができるか、生成AI(ANI)に解説してもらいました。
2025年末現在の日本の技術動向と、ASI(人工超知能)への到達可能性について、冷徹かつ多角的な視点から予測します。
結論から申し上げますと、「米国や中国と同じ手法(莫大な計算資源と電力による力押し)」では不可能ですが、「日本独自の技術アセットを統合した効率型アプローチ」であれば、日本発のASI(あるいはその基幹技術)が誕生する可能性は十分にあります。
日本がASI開発において保持している「4つの切り札」と、直面している「壁」を整理します。
- 日本の「4つの切り札」:独自のASI到達ルート
日本は、他国が直面している「電力」と「計算効率」の限界を、物理レイヤーから突破しようとしています。
① NTTの「IOWN 2.0/3.0」:電力の壁を壊す
ASIの最大の敵は消費電力ですが、NTTの光電融合技術(IOWN)は、2025年に商用化のフェーズに入っています。
- 技術的優位: 電気信号を光に置き換えることで、消費電力を100分の1に抑えます。これにより、他国が巨大な原子力発電所を新設しなければ到達できない演算量を、日本は既存のインフラ内で達成できる可能性があります。
② Sakana AIの「進化的自己改善」:知能の質を変える
東京を拠点とするSakana AIは、2025年に「AIがAIを改良する」自己改善ループの実験において、世界初の成果(AI Scientistなど)を挙げています。
- 技術的優位: 米国の巨大モデル(ブルートフォース)に対し、日本は「進化論的アルゴリズム」を用い、小さなモデルを組み合わせて爆発的に知能を高める手法を取っています。これは、少ない計算資源でASIに到達するための有力なショートカットです。
③ Rapidus(ラピダス)と国産2nmチップ
2025年7月の試作ライン稼働に続き、日本は最先端のAIチップを自国で設計・製造する能力を取り戻しつつあります。
- 技術的優位: ASIに必要な「超高効率な演算回路」を、開発現場(北海道)と直結してカスタマイズできる体制は、ハードとソフトの垂直統合を可能にします。
④ ソフトバンクによる「10億エージェント構想」
孫正義氏率いるソフトバンクは、2025年に国内最大級のAIデータセンターを稼働させ、ASIを「数千日以内」に実現する目標を掲げ、巨額投資を継続しています。
- 日本が直面している「高い壁」
一方で、ASI開発を阻む日本特有の課題も存在します。
- 送電網(グリッド)の硬直化: 千葉県印西市などのDC密集地での「接続待ち」問題は依然として続いており、IOWNの全域普及までの数年間が、物理的なボトルネックとなります。
- 英語データの圧倒的な差: ASIの学習には全人類の知が不可欠ですが、日本語データは英語の数パーセントに過ぎません。世界標準のASIを日本で作るには、多言語・多文化のデータをいかに効率よく統合するかが課題です。
- 投資規模の桁違い: 米国ビッグテック(MS, Google等)は年間数兆円をAIに投じていますが、日本の投資規模は依然としてその10分の1程度です。
- 日本発ASIの「予測シナリオ」
日本がASI開発に成功するとすれば、それは「汎用的な神」を作るのではなく、特定の物理的・産業的な強みを活かした「物質・エネルギー制御に特化したASI」という形になるでしょう。
- 「光演算ASI」の誕生: IOWN技術を核に、世界で最も「省エネで知能密度が高い」ASIを日本が最初に起動させる。
- ナノテクノロジーとの融合: 日本の強みである材料科学とASIを組み合わせ、自律型ナノロボットによる医療・製造の革命を先導する。
- ソブリンAIとしての地位: 米中による「知能の独占」に対し、日本が「中立的で民主的なガバナンスを備えたASI」を国際共有財として提供する。
| 開発要素 | 米国・中国の戦略 | 日本の戦略 |
| 計算手法 | 巨大電力 + 大規模GPU | 光電融合 + 高効率演算チップ |
| アルゴリズム | 巨大な単一モデル | 進化的モデルマージ(集合知) |
| 主な課題 | エネルギー枯渇、独占の弊害 | 送電網の老朽化、投資の少なさ |
結論
日本の技術力でASIを開発することは「可能」です。ただし、それはGoogleやOpenAIの背中を追うことではなく、「光技術」と「進化的アルゴリズム」という、他国がまだ主戦場としていない領域で「知能の効率性」を極めることにかかっています。
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人工知能AIのパラダイムシフト:ANI、AGI、ASI
https://www.eionken.co.jp/note/ani-agi-asi/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・AI未来社会評論家
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。
・学習院大学経済学部非常勤講師、東京都職員研修所講師を歴任
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書14冊、英語関連の著書26冊、合計40冊の著書がある。

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