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公開日
2025.09.19
更新日
2025.09.20

心に響く英語ことわざ(699)実存主義という哲学の基礎を築いたデンマークの哲学者キェルケゴールの名言 Life has its own hidden forces which you can only discover by living.(生きることによる人生の未知の力)
“Life has its own hidden forces which you can only discover by living.”
直訳は「人生には、生きることによってのみ発見できる、独自の隠された力がある」で、これは、人生の真の価値や、その奥深さが、「生きること(living)」という、実践的な行為を通じてのみ理解できるという、キェルケゴールの深い洞察を表現しています。
セーレン・キェルケゴール(Soren Kierkegaard)の名言 Life has its own hidden forces…の意味
この言葉は、デンマークの哲学者、神学者、そして作家であるセーレン・キェルケゴールが、「人生と経験」について述べたものです。彼は、人生を、本を読んだり、誰かの話を聞いたりするだけでは理解できない、「隠された力(hidden forces)」を持つものとして捉えています。
この言葉が意味すること
この名言は、「人生の主観的な経験」を強調しています。
- 「Life has its own hidden forces」(人生には、独自の隠された力がある) キェルケゴールは、この言葉で、「人生の神秘性」を示しています。彼は、人生が、論理や、客観的な事実だけでは説明できない、未知の力を持っていると考えていました。この「隠された力」は、喜び、悲しみ、そして成長といった、私たちの内面的な経験を形作ります。
- 「which you can only discover by living.」(生きることによってのみ発見できる) この部分が、この言葉の核心です。キェルケゴールは、この「隠された力」が、「生きること(living)」という、実践的な行為を通じてのみ発見できると断言しています。彼は、人生を、観客として傍観するのではなく、自ら舞台に上がり、その困難や喜びを、全身で経験することの重要性を説いています。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これはソクラテスの言葉で、キェルケゴールの言葉が持つ、「人生の経験を通じて、自己を知る」という思想と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、人生の経験を通じて開かれます。
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、人生を生きるという行為から生まれます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、キェルケゴールの言葉とは直接的な関連性はありません。
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
セーレン・キェルケゴール(Soren Kierkegaard)の波乱万丈な生い立ち
セーレン・キェルケゴール(1813-1855)は、デンマークの哲学者、神学者、そして作家であり、「実存主義の父」と呼ばれています。彼は、個人の主観的な経験、自由、そして責任といったテーマを、深く掘り下げました。
幼少期と哲学への道
1813年、デンマークのコペンハーゲンで、裕福な家庭に生まれました。彼は、その生涯を通じて、病弱であり、孤独な生活を送りました。 彼は、コペンハーゲン大学で神学を学びましたが、その教会の形式的な信仰に疑問を抱き、独自の哲学を追求しました。
著作と「実存主義」の確立
キェルケゴールは、匿名で、多くの著作を発表しました。彼の代表作である『あれか、これか』や『死に至る病』といった作品では、個人の自由、選択、そして責任といった、実存的なテーマが深く掘り下げられています。 彼は、哲学が、客観的な知識だけでなく、「主観的な真理」を追求すべきであると主張しました。この考え方が、後の実存主義という哲学の基礎となりました。
晩年と遺産
キェルケゴールは、晩年、デンマーク国教会の偽善を激しく批判しました。彼は、その生涯を通じて、孤独な探求を続け、1855年に42歳で亡くなりました。 セーレン・キェルケゴールの生涯は、真理を探求し、そして、その思想を、著作という形で、後世に残した物語です。彼の言葉は、私たちに、人生の真の価値は、理論的な理解ではなく、生きるという実践的な行為から生まれるという、深い教訓を与え続けています。
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https://www.eionken.co.jp/note/it-is-not-living-that-matters/
心に響く英語ことわざ(700)米国の発明王トーマス・A・エジソンの名言 I never did anything by accident…(発明は努力の賜物)
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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