- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.09.15
更新日
2025.09.15

心に響く英語ことわざ(683)近代科学の祖で英国の哲学者フランシス・ベーコンの名言 Nature is often hidden, sometimes overcome, seldom extinguished.(人間の性質は変わらない)
“Nature is often hidden, sometimes overcome, seldom extinguished.”
直訳は「人の性質はしばしば隠され、時には克服され、めったに消滅することはない」で、これは、「人間の本質」や「根源的な性質」が、表面上は変わったように見えても、決して完全に消え去ることはないという、ベーコンの深い洞察を表現しています。
フランシス・ベーコン(Francis Bacon)の名言 Nature is often hidden…の意味
この言葉は、イギリスの哲学者、科学者であるフランシス・ベーコンが、「人間の本質と外部からの影響」について述べたものです。彼は、教育や習慣といった後天的な影響によって、人の本質が一時的に隠されたり、抑え込まれたりすることはあっても、その「根源的な性質(nature)」が、完全に消滅することはないと説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「本質は変わらない」という哲学を強調しています。
- 「Nature is often hidden」(人の性質はしばしば隠される) ベーコンは、この言葉で、人が、社会的な規範や、他者からの期待に応えようとするとき、本来の自分を隠してしまうことを示唆しています。私たちは、時には、自分の本質とは異なる仮面をつけ、社会に適応しようとします。
- 「sometimes overcome」(時には克服される) この部分で、ベーコンは、人が、努力や訓練によって、自分の本能的な衝動や、欠点を一時的に克服できることを認めています。しかし、彼は、この「克服」が、完全な勝利ではないことを示唆しています。
- 「seldom extinguished.」(めったに消滅することはない) これが、この言葉の核心です。ベーコンは、「根源的な性質」が、「めったに消滅することはない(seldom extinguished)」と断言しています。これは、どんなに努力しても、どんなに外見が変わっても、私たちの奥底にある本質は、決して完全に消え去ることはないという、人間の本質に対する諦めと、深い理解を表しています。
まとめ
フランシス・ベーコンのこの言葉は、私たちに「自分の本質と向き合うこと」の重要性を教えてくれます。私たちは、一時的に自分を偽ることはできても、真に幸福な人生を送るためには、ありのままの自分を受け入れることが不可欠なのです。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これはソクラテスの言葉で、ベーコンの言葉が持つ、「内面の本質を探求する」という精神と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、自分の本質を受け入れることから始まります。
- “To be a man is to be responsible for the self.” (人間であるとは、自分自身に責任を持つことである。) これは、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの言葉で、自分の本質に対する責任を持つことの重要性を示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「三つ子の魂百まで」(みつごのたましいひゃくまで) 幼い頃の性格は、年をとっても変わらないという意味。ベーコンの言葉を的確に表す日本語です。
- 「蓼食う虫も好き好き」(たでくうむしもすきずき) 人の好みは様々であるという意味で、ベーコンの言葉とは直接的な関連性はありません。
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
フランシス・ベーコン(Francis Bacon)の波乱万丈な生い立ち
フランシス・ベーコン(1561-1626)は、イギリスの哲学者、科学者、そして政治家です。彼は、「経験主義(empiricism)」という哲学の基礎を築き、科学革命に大きな影響を与えました。
幼少期と学問への情熱
1561年、ロンドンの裕福な家庭に生まれました。彼は、ケンブリッジ大学で学び、その後、法律を学びました。 彼は、その後、政治の世界に入り、エリザベス女王や、ジェームズ1世に仕え、大法官という、イギリスで最も高い地位にまで昇りつめました。
哲学と科学への貢献
ベーコンは、政治活動と並行して、哲学と科学の研究に没頭しました。彼は、『ノヴム・オルガヌム』という著作で、「帰納法(induction)」という、科学的な方法論を提唱しました。これは、個々の観察から、一般的な法則を導き出すという、科学研究の基本的な手法です。 彼は、科学の発展が、人類の生活を豊かにすると信じていました。
失脚と晩年
しかし、彼のキャリアは、順風満帆なものではありませんでした。1621年、彼は、賄賂を受け取った罪で告発され、大法官の職を解任されました。 彼は、その後、公職から引退し、哲学と科学の研究に専念しました。彼は、1626年に65歳で亡くなりました。 フランシス・ベーコンの生涯は、哲学と科学という、二つの分野で、偉大な功績を残しながらも、政治的な失脚を経験した、波乱に満ちた物語です。彼の言葉は、私たちに、人間は、外見や地位が変わっても、その本質は決して変わらないという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(682)儒教開祖の孔子の名言 A superior man is modest in his speech, but exceeds in his actions.(行動は言葉よりも雄弁)
https://www.eionken.co.jp/note/a-superior-man-is-modest/
心に響く英語ことわざ(684)ノーベル文学賞受賞アイルランドの劇作家ジョージ・バーナード・ショーの名言 Beware of false knowledge; it is more dangerous than ignorance.(偽りの知識は危険)
https://www.eionken.co.jp/note/beware-of-false-knowledge/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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