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公開日
2025.09.28
更新日
2025.09.29

心に響く英語ことわざ(726)古代ギリシアの哲学者ソクラテスの名言 One who is injured ought not to return the injury, for on no account can it be right to do an injustice; and it is not right to return an injury, or to do evil to any man, however much we have suffered from him.(「悪」に対してでも「善」で応じるべき)
“One who is injured ought not to return the injury, for on no account can it be right to do an injustice; and it is not right to return an injury, or to do evil to any man, however much we have suffered from him.”
直訳は「傷つけられた者は、傷つけ返すことをすべきではない。なぜなら、いかなる場合でも不正を行うことは正しいことではないからだ。そして、たとえどれほど苦しめられたとしても、傷つけ返したり、いかなる人間に対しても悪を行うことは、正しいことではない」で、これは、「復讐」という行為が、道徳的に間違っており、「悪」に対しては、「善」で応じるべきであるという、ソクラテスの深い洞察を表現しています。
ソクラテス(Socrates)の名言 One who is injured ought not to return the injury…の意味
この言葉は、古代ギリシアの哲学者であるソクラテスが、「正義と不正義」について述べたものです。彼は、「不正(injustice)」が、「不正」によって、正当化されることはなく、「悪」に対して、「悪」で応じることは、その人自身を、「悪」へと堕落させてしまうと説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「非暴力と道徳」を強調しています。
- 「One who is injured ought not to return the injury」(傷つけられた者は、傷つけ返すことをすべきではない) ソクラテスは、この言葉で、「復讐(return the injury)」という、人間の本能的な感情を否定しています。彼は、「不正」に対して、「不正」で応じることは、その行為の連鎖を断ち切るどころか、さらに拡大させてしまうと考えていました。
- 「for on no account can it be right to do an injustice; and it is not right to return an injury, or to do evil to any man, however much we have suffered from him.」(なぜなら、いかなる場合でも不正を行うことは正しいことではないからだ。そして、たとえどれほど苦しめられたとしても、傷つけ返したり、いかなる人間に対しても悪を行うことは、正しいことではない) この部分が、この言葉の核心です。ソクラテスは、「不正」を、「いかなる場合でも(on no account)」、「正しいことではない(not right)」と断言しています。彼は、「悪」が、どれほど、私たちを「苦しめた(suffered)」としても、「悪」で応じることは、「悪」そのものに、加担することになると説いています。
似た意味の英語のことわざ
- “The greatest good is the knowledge of oneself.” (最大の善は、自己を知ることである。) これはソクラテスの言葉で、この言葉が持つ、「内面的な真理を探求する」という精神と通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) これは、強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味で、その道は、非暴力という意志から開かれます。
- “A journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、その一歩は、非暴力という小さな行動かもしれません。
似た意味の日本語のことわざ
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 目先の利益や欲望を気にせず、自分がすべきだと信じる正しいことを行う、という意味。
ソクラテス(Socrates)の波乱万丈な生い立ち
ソクラテス(紀元前470年頃 – 紀元前399年)は、古代ギリシアの哲学者であり、「西洋哲学の父」と見なされています。彼は、プラトンやアリストテレスといった、多くの偉大な哲学者に影響を与え、その思想は、後世に、深い影響を与えました。
幼少期と哲学への道
紀元前470年頃、アテナイで、石工の息子として生まれました。彼は、その生涯を通じて、著作を残しませんでしたが、彼の弟子であるプラトンが、彼の思想を『対話篇』という形で、後世に伝えました。 彼は、その後、アテナイの広場で、若者たちと対話し、「無知の知(I know that I know nothing)」という、有名な言葉を残しました。
裁判と死
ソクラテスは、その後、「若者を腐敗させ、国家が崇拝する神々を信じない」という罪で告発され、裁判にかけられました。彼は、その裁判で、死刑を宣告されました。 彼は、死を前にしても、自分の信念を曲げることはありませんでした。彼は、「悪」に「悪」で応じることを拒否し、毒を飲んで、その生涯を終えました。 ソクラテスの生涯は、真理と道徳を追求し、そして、その信念を、死をもって証明した物語です。彼の言葉は、私たちに、いかなる場合でも、不正を行ってはならないという、普遍的な教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(725)フランス皇帝だったナポレオン・ボナパルトの名言 Riches do not consist in the possession of treasures, but in the use made of them.(富は使うことで価値が出る)
https://www.eionken.co.jp/note/riches-do-not-consist-in-the-possession-of-treasures/
心に響く英語ことわざ(727)実存主義で有名なデンマークの哲学者キェルケゴールの名言At the bottom of enmity between strangers lies indifference.(他者への無関心が、敵意を生む)
https://www.eionken.co.jp/note/at-the-bottom-of-enmity/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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