- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.17
更新日
2025.10.17

心に響く英語ことわざ(770)「レ・ミゼラブル」で有名なフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの名言 Pain is as diverse as man. One suffers as one can.(苦痛に耐える尊厳)
“Pain is as diverse as man. One suffers as one can.”
直訳は「苦痛は、人間と同じくらい多様である。人は、できる限り、耐え忍ぶ」で、これは、「苦痛(Pain)」が普遍的なものであると同時に、一人ひとりにとって異なるものであり、その耐え方もまた個人のあり方に深く根ざしているという、ヴィクトル・ユーゴーの深い洞察を表現しています。
名言の意味:苦痛の多様性と個人の尊厳
この言葉は、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーが、「苦悩と人間の存在」について述べたものです。彼は、この名言を通じて、苦痛という避けられない人間の経験に対する洞察を示し、その多様性と、それに耐える個人の力を認識することの重要性を説いています。
鍵となる要素
- Pain is as Diverse as Man(苦痛は、人間と同じくらい多様である) ユーゴーは、苦痛を画一的なものとして捉えることを拒否しています。人間の個性や経験、感性が一人ひとり異なるように、苦痛の形(精神的なもの、肉体的なもの、実存的なものなど)、深さ、そして受け止め方もまた無限に多様であると述べています。これは、他者の苦悩を安易に判断したり、比較したりすることの無意味さを示唆しています。
- One Suffers As One Can(人は、できる限り、耐え忍ぶ) この後半のフレーズは、苦痛に対する人間の反応に焦点を当てています。「できる限り(as one can)」という表現は、苦悩に立ち向かう際の個人の限界と尊厳を認めています。人は、それぞれの持てる力と精神で苦痛に耐えるのであり、その耐え方は、その人の存在そのものを反映しているということです。
この名言は、苦悩が人生の不可欠な要素であることを認めつつ、その経験を通じて個人の精神的な力が試され、示されるという、人間の存在に対する深い敬意を払っています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “That which does not kill us makes us stronger.” (私たちを殺さないものは、私たちをより強くする。) フリードリヒ・ニーチェの言葉で、苦痛が避けられないものであり、それに耐えることで精神的な成長が得られるという点で通じます。
- “The only true wisdom is in knowing you know nothing.” (唯一の真の知恵は、自分が何も知らないということを知ることである。) ソクラテスの言葉で、人間の限界と多様な経験を認めるという謙虚さの重要性と通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 苦痛という困難に直面しても、自らの力で最善を尽くすという主体性の重要性を説きます。
ヴィクトル・ユーゴー(Victor Hugo)の波乱万丈な生い立ち
ヴィクトル・ユーゴー(1802-1885)は、フランスの詩人、小説家、劇作家であり、ロマン主義文学の巨匠です。彼の作品は、社会的な不正と人間の苦悩を、深く追求したものです。
幼少期と政治的な活動
1802年、フランスのブザンソンで、ナポレオン軍の将校の家庭に生まれました。彼は、その後の人生で、社会的な正義を求め、政治的な活動にも積極的に関わりました。 彼は、ナポレオン3世の独裁政治に反対したため、19年間にも及ぶ亡命生活を送り、政治的な苦悩を経験しました。この亡命生活は、彼の「苦痛」に対する深い理解を育みました。
文学的な業績と遺産
ユーゴーは、亡命中に、『レ・ミゼラブル』や『ノートルダム・ド・パリ』といった、彼の代表作を執筆しました。これらの作品は、貧困、不正、そして人間の苦悩という、多様な苦痛を深く描き出し、世界中の人々に深い感動を与えました。彼の文学は、「苦痛の多様性」と、それに耐える人間の尊厳を、最大限に表現しています。
ユーゴーの生涯は、理想を追求し、困難に屈することなく、苦痛を経験しながらも、それを文学という形で昇華させた「魂の旅」そのものでした。彼の言葉は、私たちに、苦痛を普遍的なものとして受け入れつつ、それぞれの方法で立ち向かうことの重要性を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(769)米国発明王トーマス・A・エジソンの名言 There’s a way to do it better – find it.(新しい可能性を探し続ける)
https://www.eionken.co.jp/note/theres-a-way-to-do-it-better/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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