- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.10
更新日
2025.10.11

心に響く英語ことわざ(756)米国建国に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 Remember not only to say the right thing in the right place, but far more difficult still, to leave unsaid the wrong thing at the tempting moment. (感情が理性を上回る時、間違ったことを言わない)
“Remember not only to say the right thing in the right place, but far more difficult still, to leave unsaid the wrong thing at the tempting moment.”
直訳は「正しい場所で正しいことを言うだけでなく、さらに遥かに難しいのは、誘惑的な瞬間に間違ったことを言わずにいることである」で、これは、「言語の技術」が、「何を言うか」という発言の創造性よりも、「何を言わないか」という自制心によって、その真価が試されるという、ベンジャミン・フランクリンの深い洞察を表現しています。
名言の意味:沈黙の知恵と自制心
この言葉は、アメリカ合衆国の建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンが、「コミュニケーションの技術と道徳的な自制」について述べたものです。彼は、賢明な発言(say the right thing)は努力すれば可能だが、感情的になったり、誘惑されたりする瞬間に、軽率な言葉(the wrong thing)を抑え込むこと(leave unsaid)は、遥かに高度な知性と道徳的な訓練を必要とすると説いています。
鍵となる要素
- Say the Right Thing in the Right Place(正しい場所で正しいことを言う) これは、積極的なコミュニケーションの目標です。適切な状況で、適切な言葉を選ぶことは、知識、配慮、そして技術によって達成されます。
- Far More Difficult Still(さらに遥かに難しいのは) フランクリンは、「建設的な発言」よりも「破壊的な発言の抑制」の難易度が高いことを明確に示しています。
- To Leave Unsaid the Wrong Thing at the Tempting Moment(誘惑的な瞬間に間違ったことを言わずにいること) これがこの言葉の核心です。「誘惑的な瞬間(tempting moment)」とは、怒り、嫉妬、プライド、あるいはゴシップへの衝動など、感情が理性を上回る時を指します。このような時に、後悔を招く「間違ったこと(the wrong thing)」を言わないという沈黙の選択は、最高の自制心の表れであると彼は断言しています。
この名言は、真の知恵が、舌を制御し、感情的な衝動を理性で抑制する内面的な力にあることを教えています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “Brevity is the soul of wit.” (簡潔さは知性の真髄である。) シェイクスピアの言葉で、多弁を避ける自制心が、知性に繋がるという点で通じます。
- “Where there is a will, there is a way.” (意志あるところに道は開ける。) 軽率な発言を控えるという自制の意志が、より良い結果を生むという点で通じます。
似た意味の日本語のことわざ
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 不用意な発言や嘘が、身の破滅を招く原因となるという意味で、発言の抑制の重要性を強調します。
- 「為すべきを為す」(なすべきをなす) 感情的な衝動に流されず、道徳的に正しい行動(沈黙を含む)を選ぶという点で通じます。
ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)の波乱万丈な生い立ち
ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)は、アメリカの政治家、科学者、そして発明家であり、アメリカ独立に、大きな貢献をしました。
幼少期と自学自習の精神
1706年、ボストンで、石鹸職人の家庭に生まれました。彼は、正規の教育をほとんど受けませんでしたが、生涯を通じて自学自習を続けました。彼は、若くしてフィラデルフィアへ移り、「プア・リチャードのアルマナック」という年鑑を出版し、その中に、「倹約」や「正直さ」といった、道徳的な格言を多く収録しました。
科学的・政治的な功績
フランクリンは、避雷針の発明や、二焦点レンズの開発など、科学的な分野でも偉大な功績を残しました。 彼は、政治家としては、フランスへの特命大使として、アメリカ独立戦争で、フランスの支援を取り付け、アメリカの勝利に貢献しました。彼は、その後のアメリカ合衆国憲法の制定にも深く携わりました。
フランクリンの生涯は、道徳的原則を自らの意志で厳しく律し、それを実生活と公の場で実践することで、偉大な成果を生み出した物語です。彼の言葉は、私たちに、真の賢さは、雄弁さではなく、沈黙の能力にあるという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(755)古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言 The ideal man bears the accidents of life with dignity and grace, making the best of circumstances.(真の品格は、平穏な時ではなく、不運な状況における心の持ち方によって決まる)
https://www.eionken.co.jp/note/the-ideal-man-bears/
心に響く英語ことわざ(757)仏教の開祖ブッダの名言 Holding on to anger is like grasping a hot coal with the intent of throwing it at someone else; you are the one who gets burned.(怒りを抱き続ける事は他者ではなく自分自身を傷つける行為である)
https://www.eionken.co.jp/note/holding-on-to-anger/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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