心に響く英語ことわざ（787）「オセロ」で有名なイギリスの文豪ウィリアム・シェイクスピアの名言　How poor are they that have not patience! What wound did ever heal but by degrees?（人生、忍耐が大切）

“How poor are they that have not patience! What wound did ever heal but by degrees?”

直訳は「忍耐を持たぬ者は、なんと貧しいことか！ いったい、どんな傷が、少しずつでなくして癒えただろうか？」で、これは、「忍耐（Patience）」が困難や苦痛を乗り越えるための最も必要な精神的資産であり、時間と段階的なプロセスを経てこそ治癒や回復が達成されるという、ウィリアム・シェイクスピアの深い人生の真理を表現しています。

名言の意味：忍耐は回復への不可欠な資産

この言葉は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『オセロ』の中で語られるセリフです。「貧しい（poor）」という言葉は、物質的な富ではなく、忍耐力という精神的な富を欠く人々を指しています。真の貧しさは、心の平静と待つ能力を失うことにあると説いています。

鍵となる二つの質問と教訓

1. How Poor Are They That Have Not Patience!（忍耐を持たぬ者は、なんと貧しいことか！）
   • 忍耐は、人生の苦難という財産を管理するための精神的な資産と見なされています。忍耐を欠く人は、困難な時期を乗り切る内的な資源を持たないため、精神的に「貧しい」と表現されています。
2. What Wound Did Ever Heal But by Degrees?（いったい、どんな傷が、少しずつでなくして癒えただろうか？）
   • この修辞的な質問は、答えが「ない」であることを前提としています。肉体的な傷であれ、精神的な傷であれ、治癒や回復には「by degrees（段階的に、少しずつ）」、つまり時間とプロセスが不可欠であることを自然の法則として示しています。焦りは治癒を早めることはできず、むしろ妨げます。

この名言は、困難な時期に直面したとき、焦りや絶望に屈することなく、時間の力と段階的な回復のプロセスを信頼し、忍耐強く待つことの重要性を教えてくれます。

類似のことわざと教訓

似た意味の英語のことわざ

• “Time and the hour run through the roughest day.” （時と時間は、最も困難な一日を駆け抜けていく。） シェイクスピア自身の別の名言であり、時間の普遍的な流れが困難な状況を終わらせる力を持つという点で通じます。
• “Rome wasn’t built in a day.” （ローマは一日にして成らず。） 偉大な成果や回復（傷の治癒）には、時間と段階的な努力が必要であるという忍耐の教訓を説きます。
• “This too shall pass.” （これもまた過ぎ去るだろう。） 困難な状況は永続的ではないという確信は、忍耐の基盤となります。

似た意味の日本語のことわざ

• 「待てば海路の日和あり」（まてばかいろのひよりあり） 今は状況が悪くても、忍耐して待てば、必ず良い時期（回復）が来るという意味で、時間の力への信頼を説きます。
• 「為すべきを為す」（なすべきをなす） 忍耐とは単に待つことではなく、回復や目標のために段階的な努力を続ける主体的な行動であることを示唆します。

ウィリアム・シェイクスピア（William Shakespeare）の波乱万丈な生い立ち

ウィリアム・シェイクスピア（1564-1616）は、イギリスの劇作家、詩人であり、人間の複雑な感情と運命を描いた不朽の作品を残しました。

人生の苦難と洞察

彼の人生や戯曲には、喪失、裏切り、絶望といった深い苦痛が描かれています。これらの経験は、人間が困難に直面したときに取るべき姿勢について、彼に深い洞察を与えました。 特に『オセロ』のような悲劇は、嫉妬や怒りといった衝動的な感情（忍耐の欠如）が悲劇的な結果を招く様子を生々しく描き出し、理性と忍耐の重要性を対比的に浮き彫りにしています。

時間の普遍的なテーマ

シェイクスピアの作品では、時間が常に重要なテーマです。時間は、破壊をもたらす力であると同時に、癒しと解決をもたらす希望の源でもあります。「傷は少しずつ癒える」という真実は、時間の普遍的な作用に対する信頼を表しています。

シェイクスピアの言葉は、私たちに、焦りや不満で自らを「貧しく」するのではなく、忍耐という精神的な資産を培い、人生の傷が癒えるための時間を静かに与えることの価値を教えてくれます。

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心に響く英語ことわざ（786）「レ・ミゼラブル」で有名なフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの名言　The human soul has still greater need of the ideal than of the real. It is by the real that we exist; it is by the ideal that we live. （人は理想をより必要とする）

https://www.eionken.co.jp/note/the-human-soul-has-still-greater-need/

心に響く英語ことわざ（788）相対性理論を構築したドイツの物理学者アルベルト・アインシュタインの名言　It is the supreme art of the teacher to awaken joy in creative expression and knowledge.（好奇心と楽しさを基盤とした学習こそが、真の知性と創造性を育む）

https://www.eionken.co.jp/note/it-is-the-supreme-art/

著者Profile

山下 長幸（やました ながゆき）

・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。

・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ：学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか？」など26冊がある。

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