- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.22
更新日
2025.12.22
心に響く英語ことわざ(912)アメリカの経営学者マイケル・ポーターの名言 The essence of strategy is choosing what not to do.(戦略は選択と集中)
“The essence of strategy is choosing what not to do.”
直訳は「戦略の本質は、何をしないかを選択することである」で、似た意味の言葉に「捨てる勇気」「選択と集中」があります。
マイケル・ポーター(Michael Porter)の名言
The essence of strategy…の意味 この言葉は、「競争戦略の父」として知られるハーバード大学経営大学院の教授、マイケル・ポーターが、競争優位性を確立するための「戦略(strategy)」の本質について説いたものです。多くの会社は「何をするか」(例:多くの製品を出す、全ての顧客を満足させる)を選ぶことを戦略と誤解しますが、ポーターは、真の戦略は「何をしないか(what not to do)」を意図的に選択し、競合他社との「違い」を創り出す「差別化」にあると主張しています。
この言葉が意味すること この名言は、ビジネスにおける「限定と集中」の重要性を説いています。
- 「The essence of strategy」(戦略の本質) 戦略とは、単なる効率化や改善(オペレーション上のエクセレンス)ではなく、競合他社とは異なる価値を提供するために、業務のやり方を「独自に組み合わせること」です。この独自性を保つためには、「しないこと」を決める(トレードオフ)必要があります。
- 「choosing what not to do」(何をやらないかを選ぶこと) 例えば、「低コストで広範囲な顧客に販売する」という戦略を選ぶならば、「高度なカスタマイズ機能や個別の手厚いサービス」を提供するのは「やらないこと」と選択する必要があります。すべてをやろうとすると、どれも中途半端になり、独自の優位性を失います。捨てることで、選んだ分野にリソースを集中できるのです。
似た意味の英語のことわざ
- “The difference between successful people and really successful people is that really successful people say no to almost everything.” (成功している人と本当に成功している人の違いは、本当に成功している人はほとんどすべてに「ノー」と言うことだ。) ウォーレン・バフェットの言葉とされる格言。「何をしないか(no)」を選ぶ重要性を示しています。
- “Focusing is about saying no.” (集中するとは、ノーと言うことだ。) 同じく、選択と集中の裏側にある「排除(choosing what not to do)」の行為の重要性を説いています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「捨てる神あれば拾う神あり」(すてるかみあればひろうかみあり) 本来は失意の人への慰めの言葉ですが、戦略的には「何かを捨てる(捨てる神)ことで、新たな機会や価値(拾う神)を得られる」と解釈できます。
- 「選択と集中」(せんたくとしゅうちゅう) 限られた経営資源を、優位性のある分野に集中させることを指します。集中のためには「何を捨てるか(choosing what not to do)」の選択が必要です。
マイケル・ポーターの生い立ち
マイケル・ポーター(Michael Porter、1947年生まれ)は、ハーバード大学で教鞭を執り、現代の経営戦略論を確立した人物です。
- 初期の教育: プリンストン大学で航空宇宙工学を専攻した後、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)でMBAを取得し、さらにハーバード大学で経済学のPh.D.を取得するという、工学、ビジネス、経済学にまたがる異色の経歴を持っています。
- 理論の確立: 1970年代後半から1980年代にかけて、産業構造を分析するための「ファイブフォース(5つの競争要因)」や、企業が競争優位を築くための「三つの基本戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)」などの革新的なフレームワークを発表しました。
- 戦略の重要性の提唱: 彼の理論は、企業が単に効率を高めるだけでなく、競合とは異なる活動(doing things differently)を意図的に選ぶこと、すなわち「戦略」の重要性を世界に知らしめました。この名言は、彼の提唱する戦略的トレードオフの概念の核心を突いています。
名言の出典
この言葉は、マイケル・ポーターが競争戦略に関する数多くの著作や論文の中で繰り返し述べている核心的な主張であり、特に以下の論文で明確に展開されています。
- 論文名: “What is Strategy?”
- 掲載: Harvard Business Review
- 発行年: 1996年11月/12月号
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心に響く英語ことわざ(911)アメリカの牧師・公民権運動指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの名言 If you can’t fly then run, if you can’t run then walk, if you can’t walk then crawl, but whatever you do you have to keep moving forward.(どんな手段であっても前進し続けよ)
https://www.eionken.co.jp/note/if-you-cant-fly-then-run/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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