- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.12.29
更新日
2025.12.29
心に響く英語ことわざ(919)アメリカの経営学者ピーター・ドラッカーの名言 The most important thing in communication is hearing what isn’t said.(コミュニケーションで最も大切なことは、語られない言葉を聞くことである)
“The most important thing in communication is hearing what isn’t said.”
直訳は「コミュニケーションにおいて最も重要なことは、語られていないことを聞くことである」で、似た意味の言葉に「行間を読む」や「一を聞いて十を知る」があります。
ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)の名言の意味
この言葉は、「マネジメントの父」と称されるピーター・ドラッカーが、対人関係や組織運営における「真の理解」の本質について説いたものです。ドラッカーは、人が口にだす言葉は、その人の真意や感情、あるいは潜在的な問題のごく一部でしかないと考えました。声のトーン、沈黙、表情、あるいは「あえて言及されなかった事実」に目を向け、相手の真実を汲み取る洞察力こそが、最良のコミュニケーションだと説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、表面的な情報のやり取りを超えた「聴く力」の重要性を説いています。
- 「hearing what isn’t said」(語られないことを聞く) 相手が沈黙している理由、言葉を選んでいる背景、あるいは無意識に避けている話題にこそ、本質的なヒントが隠されていることが多々あります。
- ビジネスにおける洞察 顧客のニーズや部下の不満は、常に明文化されるわけではありません。ドラッカーは、マネジャーが数字や報告書(語られたこと)だけでなく、現場の空気や違和感(語られないこと)を察知する重要性を強調しました。
似た意味の言葉
- 英語: “To listen to the words is not enough; one must listen to the person.” (言葉を聞くだけでは不十分だ。その人自身を聴かなければならない。)
- 日本語: 「阿吽(あうん)の呼吸」や「以心伝心」。言葉を介さずとも相手の意図を汲み取る、日本文化に深く根ざしたコミュニケーションの理想に近いといえます。
ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)の生い立ち
ピーター・ドラッカー(1909-2005)は、経営学(マネジメント)という分野を学問として確立し、社会現象としての企業を分析した知の巨人です。
- ウィーンでの多感な幼少期: 1909年、オーストリアのウィーンで、知的なエリート家系に生まれました。幼少期に自宅を訪れたフロイト(精神分析学)やシュンペーター(経済学)ら一流の知識人たちの会話を「聴いて」育った経験が、彼の多角的な洞察力を養いました。
- 亡命と新天地での活躍: ドイツで新聞記者として働いていましたが、ナチスの台頭を予見し、イギリスを経てアメリカへ亡命。GM(ゼネラル・モーターズ)などの巨大組織の内部構造を研究し、1946年の『会社の概念』でマネジメントの概念を世に示しました。
- 「傍観者」としての視点: ドラッカーは自らを「傍観者(bystander)」と呼びました。社会の動きを客観的に観察し、そこで何が起きているか(あるいは起きていないか)を鋭く分析する彼の姿勢は、まさに「語られない声を聞く」ことの連続でした。
名言の出典
この言葉は、ドラッカーの数多くのインタビューや、マネジメントに関する講演の中で繰り返し引用されている代表的なフレーズです。彼の膨大な著作(『現代の経営』『マネジメント』など)を貫く、「人間中心の組織運営」という哲学を象徴する言葉として広く知られています。
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心に響く英語ことわざ(918)フランスの画家ポール・ゴーギャンの名言 Stay firmly in your path and dare; be wild two hours a day!(己の道を突き進み、一日のうち二時間は野生になれ!)
https://www.eionken.co.jp/note/stay-firmly-in-your-path/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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