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公開日
2025.09.03
更新日
2025.09.04

心に響く英語ことわざ(627)古代イスラエルのソロモン王の名言 Train up a child in the way that he should go: and when he is old, he will not depart from it.(三つ子の魂百まで)
“Train up a child in the way that he should go: and when he is old, he will not depart from it.”
直訳は「子供を、彼が進むべき道に沿って育てなさい。そうすれば、年老いても、その道から離れることはない」で、似た意味のことわざに「三つ子の魂百まで」があります。
ソロモン王(King Solomon)の名言 Train up a child…の意味
この言葉は、古代イスラエルの第三代国王であり、旧約聖書に登場する知恵の王ソロモンが、「教育と習慣の重要性」について述べたものです。彼は、幼少期に受けた教育や身につけた習慣が、その後の人生を決定づける上で極めて重要であると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「人間形成における早期教育の役割」を強調しています。
- 「Train up a child in the way that he should go」(子供を、彼が進むべき道に沿って育てなさい) これは、単に子供に知識を教えるだけでなく、道徳、倫理、そして正しい判断力を身につけさせる「育成」を意味します。この「way」(道)は、子供一人ひとりの個性や才能、そして社会的な役割を考慮した、それぞれの子供に合った道を示唆しています。
- 「and when he is old, he will not depart from it.」(そうすれば、年老いても、その道から離れることはない) この部分は、幼少期に形成された習慣や価値観が、一生涯にわたってその人の行動を無意識的に導くことを示しています。この言葉は、幼い頃に身につけた良い習慣や道徳観が、困難な状況や誘惑に直面したときでも、その人を正しい道へと戻してくれる、人生の羅針盤のような役割を果たすことを教えています。
似た意味の英語のことわざ
- “As the twig is bent, so the tree is inclined.” (小枝が曲がれば、木も傾く。) これは、子供時代の教育や環境が、その後の人生に大きな影響を与えることを、木の成長にたとえて表現しています。
- “Good habits formed at youth make all the difference.” (若いうちに形成された良い習慣が、すべての違いを生み出す。) これは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言で、ソロモン王の言葉と深く通じます。
- “The hand that rocks the cradle is the hand that rules the world.” (揺りかごを揺らす手は、世界を支配する手だ。) これは、子供を育てる親(特に母親)の役割が、将来の世界を形作る上で非常に重要であるという、教育の力を強調しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「三つ子の魂百まで」(みつごのたましいひゃくまで) 幼い頃の性格や習慣は、百歳になっても変わらないという意味。ソロモン王の言葉を最も的確に表す日本語です。
- 「習い性となる」(ならいせいとなる) 習慣として身についたことは、生まれつきの性質のようになるという意味。
- 「石の上にも三年」(いしのうえにもさんねん) 冷たい石の上でも三年座っていれば温まるという意味で、忍耐強く辛抱すれば、必ず報われるという教えです。
ソロモン王(King Solomon)の波乱万丈な生い立ち
ソロモン王(紀元前10世紀頃)は、古代イスラエルの第三代国王であり、ダビデ王の息子です。彼は、「知恵の王」として知られ、その治世は、イスラエル王国の黄金時代でした。
幼少期と王位継承
ソロモンは、父ダビデ王の晩年に生まれました。彼は、兄たちとの王位継承争いを制し、父の後を継いで国王となりました。 彼は、神に「富や長寿ではなく、知恵をください」と祈り、その願いが神に聞き届けられたという旧約聖書の逸話があります。これにより、彼は、並外れた知恵と、比類なき富と名声を得たと言われています。
知恵の王としての統治
ソロモン王の治世は、イスラエル王国の最も平和で繁栄した時代でした。彼は、その知恵によって、人々を公正に裁き、国を賢明に統治しました。彼が、二人の女性が赤ん坊の母親であることを争った際に、「赤ん坊を二つに切り、半分ずつ与えよ」と命じ、真の母親を見抜いたという話は、彼の知恵を象徴する有名なエピソードです。 彼はまた、エルサレムに第一神殿(ソロモン神殿)を建設しました。これは、イスラエルの人々にとって、信仰の中心となる重要な建物でした。
晩年と王国の分裂
しかし、ソロモン王の晩年は、必ずしも順風満帆ではありませんでした。彼は、多くの異国の女性を妻にし、彼女たちの信仰を容認したため、偶像崇拝が国内に広まり、神の怒りを買ったとされています。 彼の死後、王国は南北に分裂し、その繁栄は終わりを告げました。 ソロモン王の生涯は、知恵と富と権力に恵まれながらも、その慢心によって王国の衰退を招いた物語です。彼の言葉は、私たちに、人生の基礎は、幼い頃に築かれるという、普遍的な教訓を与え続けています。
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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