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公開日
2025.09.04
更新日
2025.09.04

心に響く英語ことわざ(629)「戦争と平和」有名なロシアの文豪トルストイの名言 We lost because we told ourselves we lost.(負けたと思うから負けとなる)
“We lost because we told ourselves we lost.”
直訳は「私たちは、自分たち自身に『負けた』と告げたから、負けたのだ」で、似た意味のことわざに「病は気から」があります。
レフ・トルストイ(Leo Tolstoy)の名言 We lost because we told ourselves we lost.の意味
この言葉は、ロシアの小説家、思想家であるレフ・トルストイが、「敗北の心理的要因」について述べたものです。彼は、実際の敗北は、外部の状況や相手の力によってではなく、「自分自身が敗北を受け入れた」という内面的な選択から生じると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、「思考の力が現実を創造する」という哲学を強調しています。
- 「We lost」(私たちは負けた) これは、物理的な敗北や失敗を指しています。
- 「because we told ourselves we lost」(自分たち自身に『負けた』と告げたから) この部分が、この言葉の核心です。トルストイは、敗北の根本的な原因は、「自己対話」にあると考えていました。困難な状況に直面したとき、私たちが「もうダメだ」「勝てない」と心の中でつぶやき、その考えを真実として受け入れてしまうと、その時点で、私たちは、実際に戦う前から「負け」を確定させてしまうのです。
まとめ
レフ・トルストイのこの言葉は、私たちに「心の持ち方」の重要性を教えてくれます。人生における真の勝利は、外部の敵に勝つことではなく、自分自身の内なる弱さやネガティブな思考に打ち勝つことなのです。
似た意味の英語のことわざ
- “The mind is its own place, and in itself can make a heaven of hell, a hell of heaven.” (心はそれ自身の場所であり、それ自体が地獄を天国に、天国を地獄に変えることができる。) ジョン・ミルトンの詩『失楽園』の一節で、心のあり方こそが幸福や不幸を決定するという思想を示しており、トルストイの言葉と深く通じます。
- “Whether you think you can, or you think you can’t, you’re right.” (できると思っても、できないと思っても、あなたは正しい。) これは、ヘンリー・フォードの名言で、思考が現実を創造するという、トルストイの哲学をシンプルに表現しています。
- “Nothing is impossible, the word itself says ‘I’m possible’!” (不可能なことなどない。言葉自体が『私は可能だ』と言っているのだから。) 女優オードリー・ヘップバーンの言葉で、ポジティブな思考が、不可能を可能にすることを示しています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「病は気から」(やまいはきから) 病気は、気の持ちようによって良くなったり、悪くなったりするという意味。トルストイの言葉を的確に表す日本語です。
- 「意志あるところに道は開ける」 強い意志や決意があれば、必ず成功への道が見つかるという意味。
- 「思いは実現する」 心に強く思ったことは、現実のものになるという意味。
レフ・トルストイ(Leo Tolstoy)の波乱万丈な生い立ち
レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ(1828-1910)は、ロシアの小説家、思想家であり、『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』といった不朽の名作を生み出しました。彼は、文学者としてだけでなく、キリスト教無政府主義を唱える思想家としても、世界に大きな影響を与えました。
幼少期と軍人としての経験
1828年、ロシアの貴族の家庭に生まれました。彼は、大学で法律と東洋言語を学びましたが、文学と哲学に強い関心を持ちました。 彼は、23歳の時に軍に入隊し、クリミア戦争に従軍しました。この戦争での経験が、彼の後の作品に大きな影響を与え、特に『戦争と平和』では、戦争の悲惨さと、人間の内面的な葛藤を深く描いています。
文学の傑作と精神的な探求
軍を退役した後、トルストイは文学の道を歩み始めました。彼は、ロシアの社会問題や、人間の心の奥底にある真実を鋭く描き出し、世界的な名声を得ました。 しかし、彼は、名声や富といった世俗的なものに満足することができず、人生の目的や意味を深く探求するようになりました。彼は、宗教や哲学を学び、最終的には、私有財産を否定し、非暴力、平和、そして普遍的な愛を説く、独自の思想を確立しました。
晩年と遺産
トルストイは、晩年、多くの人々から「聖人」と見なされるようになりました。彼は、自分の著作権を放棄し、貧しい人々と質素な生活を送ろうとしました。 1910年、彼は、家族との対立から家を飛び出し、小さな駅で肺炎をこじらせて亡くなりました。 彼の生涯は、文学と哲学、そして精神的な探求に捧げられたものでした。彼の言葉は、私たちに、人生における真の戦いは、外部の敵との戦いではなく、自分自身の内面との戦いであるという、深い教訓を与え続けています。
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心に響く英語ことわざ(628)道教開祖の老子の名言 Treat those who are good with goodness, and also treat those who are not good with goodness…(常に善意・正直をもって接する)
https://www.eionken.co.jp/note/treat-those-who-are-good/
心に響く英語ことわざ(630)イタリアのルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの名言 Time stays long enough for anyone who will use it.(時間を有効に使う)
https://www.eionken.co.jp/note/time-stays-long-enough/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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