- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.08.31
更新日
2025.08.31

心に響く英語ことわざ(610)「星の王子さま」で有名なフランスの作家サン=テグジュペリの名言 What saves a man is to take a step. Then another step. It is always the same step, but you have to take it.(一歩を踏み出す)
“What saves a man is to take a step. Then another step. It is always the same step, but you have to take it.”
直訳は「人を救うのは、一歩を踏み出すこと。そしてもう一歩。それはいつも同じ一歩だが、それを踏み出さなければならない」で、似た意味のことわざに「千里の道も一歩から」があります。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupery)の名言 What saves a man…の意味
この言葉は、フランスの作家、飛行士であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが、「人生における一歩の重要性」について述べたものです。彼は、困難な状況や絶望的な状況を乗り越えるには、大きな飛躍ではなく、「小さな一歩」をひたすら繰り返すことこそが、唯一の方法であると説いています。
この言葉が意味すること
この名言は、行動することの力と、その行動が持つ単純な反復の重要性を強調しています。
- 「What saves a man is to take a step. Then another step.」(人を救うのは、一歩を踏み出すこと。そしてもう一歩。) サン=テグジュペリは、人生のどん底にいるとき、人は「何から手をつければいいのか」と途方に暮れてしまいます。彼は、そのような状況から抜け出すには、まず「一歩」という小さな行動を起こすこと、そしてそれを繰り返すことだと示唆しています。この「一歩」は、絶望を打ち破るための最初の小さな行動であり、それが次の一歩へとつながっていくのです。
- 「It is always the same step, but you have to take it.」(それはいつも同じ一歩だが、それを踏み出さなければならない。) この部分は、行動が持つ「反復性」と「意志」の重要性を強調しています。この一歩は、決して派手なものではなく、地味で、時には退屈に感じるかもしれません。しかし、その同じ一歩を、私たちは自分の意志で「踏み出さなければならない」のです。この地道な努力の積み重ねが、やがて大きな変化をもたらし、私たちを困難から「救う」のです。
似た意味の英語のことわざ
- “The journey of a thousand miles begins with a single step.” (千里の道も一歩から。) これは、どんなに大きな目標でも、最初の一歩から始まるという意味で、サン=テグジュペリの言葉と完全に一致します。
- “Inch by inch, anything’s a cinch.” (一寸ずつやれば、どんなことも簡単だ。) これは、大きな課題も、少しずつ取り組めば、必ず達成できるという意味です。
- “One step at a time.” (一歩ずつ。) これは、目の前の課題に集中し、焦らずに一歩ずつ進むことの重要性を説いています。
似た意味の日本語のことわざ
- 「千里の道も一歩から」(せんりのみちもいっぽから) どんなに遠い道のりでも、最初の一歩から始まるという意味。この言葉は、サン=テグジュペリの言葉を最も的確に表す日本語です。
- 「継続は力なり」(けいぞくはちからなり) どんなことでも、継続して努力を続ければ、やがて大きな力となるという意味。
- 「石の上にも三年」(いしのうえにもさんねん) 冷たい石の上でも三年座っていれば温まるという意味で、忍耐強く辛抱すれば、必ず報われるという教えです。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupery)の波乱万丈な生い立ち
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900-1944)は、フランスの作家、詩人、ジャーナリスト、そしてパイロットとして知られています。彼は、『星の王子さま』の著者として世界中で愛されていますが、その生涯は、空と文学に捧げられた、波乱に満ちたものでした。
パイロットとしてのキャリア
1900年、フランスのリヨンで貴族の家庭に生まれました。彼は、幼い頃から飛行機に魅せられ、第一次世界大戦後、軍のパイロットになりました。 彼は、飛行機を単なる乗り物としてではなく、人間の精神の限界を試す場所だと考えていました。彼は、郵便飛行士として、サハラ砂漠や南米の山岳地帯を飛び、その経験が『夜間飛行』や『人間の土地』といった作品の主題となりました。
文学と飛行
サン=テグジュペリは、パイロットとして多くの危険な状況を経験しました。1935年には、サハラ砂漠で飛行機が墜落し、数日間、砂漠をさまよった経験があります。この極限状態でのサバイバルが、彼の人生観と文学に深い影響を与えました。 第二次世界大戦が勃発すると、彼はフランス空軍のパイロットとして再び空に戻りました。この時期に書かれたのが、彼の最も有名な作品『星の王子さま』です。この物語は、孤独、愛、友情、そして人生の意味を、子供のような純粋な視点から語り、世界中の人々の心を捉えました。
悲劇的な最期と遺産
1944年、サン=テグジュペリは、ドイツ軍の偵察飛行中に消息を絶ち、そのまま行方不明となりました。彼の行方不明は、フランス国民に大きな衝撃を与えました。 彼の生涯は、常に危険と隣り合わせの冒険と、深い哲学的な思索の連続でした。彼の言葉は、私たちに、人生の困難に直面したときでも、諦めずに一歩ずつ進む勇気と、行動することの力を教えてくれます。
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心に響く英語ことわざ(609)奴隷制度解放に尽力した米国大統領エイブラハム・リンカーンの名言 I am a slow walker, but I never walk back.(信念を貫く)
https://www.eionken.co.jp/note/i-am-a-slow-walker/
心に響く英語ことわざ(611)古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言 Good habits formed at youth make all the difference.(三つ子の魂百まで)
https://www.eionken.co.jp/note/good-habits-formed-at-youth/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。
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