- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 204.心に響く英語ことわざ2
公開日
2025.10.19
更新日
2025.10.20

心に響く英語ことわざ(774)米国建国に尽力したベンジャミン・フランクリンの名言 Whatever is begun in anger ends in shame.(怒りは判断力を曇らせる)
“Whatever is begun in anger ends in shame.”
直訳は「怒りの中で始められたものは何であれ、恥に終わる」で、これは、「怒り」という感情的な衝動に基づいて行動を起こすことは、短期的な満足をもたらすかもしれませんが、長期的には後悔や不名誉というネガティブな結果を招くという、ベンジャミン・フランクリンの深い洞察を表現しています。
名言の意味:怒りの行動が招く必然的な結末
この言葉は、アメリカ合衆国の建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンが、「感情の制御と道徳的な結果」について述べたものです。彼は、政治家、実業家、そして道徳的な探求者としての経験から、理性を失った行動の危険性を熟知していました。「怒り」は判断力を曇らせ、感情的で破壊的な行動を引き起こすため、その結果は「恥(shame)」という道徳的な失敗に必然的に繋がると説いています。
鍵となる要素
- Whatever is Begun in Anger(怒りの中で始められたものは何であれ) ここでいう「始められたもの(begun)」とは、議論、復讐、重要な決断、人間関係の断絶など、怒りという衝動を出発点とするあらゆる行為を指します。冷静な理性を欠いた出発点は、健全な結果を生むことができません。
- Ends in Shame(恥に終わる) 「恥(shame)」とは、社会的な非難や個人の良心による後悔を指します。怒りの行動は、他者を傷つけることになり、また、自己の品位を貶めることになります。フランクリンは、感情的な爆発の代償が、行動の一時的な満足よりも遥かに大きいことを明確に示しています。
この名言は、行動を起こす前に感情を制御する「自制心(Self-Control)」が、道徳的で成功した人生を送るための不可欠な要素であることを教えています。
類似のことわざと教訓
似た意味の英語のことわざ
- “Holding on to anger is like grasping a hot coal… you are the one who gets burned.” (怒りに固執することは、熱い石炭を掴むようなもので、火傷を負うのはあなた自身だ。) ブッダの教えであり、怒りが自己破壊的であるという点で共通しています。
- “Better to be a patient man than a warrior, and one who controls his temper than one who takes a city.” (戦士であるよりも忍耐強い人の方が優れており、都市を占領する者よりも自分の怒りを制御する者の方が優れている。) 旧約聖書の箴言であり、感情の制御の価値を強調します。
似た意味の日本語のことわざ
- 「口は災いの元」(くちはわざわいのもと) 怒りによる軽率な発言が、恥や災難を招くという点で、発言の抑制の重要性と通じます。
ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)の波乱万丈な生い立ち
ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)は、アメリカの政治家、科学者、そして発明家であり、「自立心と勤勉さ」の象徴とされています。
幼少期と道徳的な鍛錬
1706年、ボストンで生まれました。彼は、若くして自学自習を続け、印刷業で成功を収めました。 彼は、その後、『プア・リチャードのアルマナック』を出版し、その中で「13の徳目」という自己改善のためのリストを考案しました。このリストには、「静穏(Tranquility)—些細なことや、避けられない日常的な偶然の出来事に、動揺しない」という項目があり、「怒り」の制御を生涯にわたり実践しようとした彼の強い意志を示しています。
政治家としての活動と遺産
フランクリンは、フランスへの大使として、アメリカ独立戦争におけるフランスの支援を取り付け、外交官としても偉大な功績を残しました。彼の機知と理性的な態度は、国際政治という感情的になりやすい場において、冷静な判断を下すことを可能にしました。
フランクリンの生涯は、感情の衝動に流されず、理性と自制心によって自己を律することが、いかに偉大な成果と尊敬をもたらすかを示す物語です。彼の言葉は、私たちに、行動の出発点を理性に置くことの重要性を教えてくれます。怒りに駆られた行動を始める前に、一度立ち止まって深呼吸をしてみませんか?
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心に響く英語ことわざ(773)古代ギリシアの哲学者アリストテレスの名言 Wishing to be friends is quick work, but friendship is a slow ripening fruit.(真の友情は時間と誠実さという試練を経て初めて得られる)
https://www.eionken.co.jp/note/wishing-to-be-friends-is-quick-work/
心に響く英語ことわざ(775)ブッダの名言 It is a man’s own mind, not his enemy or foe, that lures him to evil ways.(真の危険は欲望、怒り、無知といった煩悩に満ちた制御されていない心にある)
https://www.eionken.co.jp/note/it-is-a-mans-own-mind/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。