
競合他社分析の技術
カテゴリー: 3. ビジネスコンサルティング技術
競合他社分析の技術
本ページにアクセスされた多くの皆さん、会社で事業計画や営業戦略の策定の一環で競合他社調査分析をするよう指示を受けたとしたら、どのように調べてレポートを書けばよいのか悩まれることでしょう。大学生の方々でも経営学の業界構造分析などで企業の競争状況の分析レポート作成提出が課題となったら苦労されることでしょう。
「文献調査では、表面的な事しか判らない」
「本当に知りたい深い情報をどうやって入手すればよいのか?」
「同業なので断片的にはいろいろ知っているが、体系的に調査分析したことはない」
筆者の戦略コンサルティング会社でのプロジェクト経験では、競合他社分析はクライアント企業の方々の関心をとても引いていました。市場で激しい競争を繰り広げているためです。
筆者も戦略コンサルティング会社の駆け出しの頃から競合他社分析は付加価値が付きやすいので、いろいろと取り組んだものです。しかし単に公開情報からの調査分析を内部のプロジェクトチームの打ち合わせに出しても、
「そんな浅い分析では、報告書に使えない」
「その他社事例には具体感が不足」
「その他社事例分析は、クライアントにとって付加価値が乏しい」
との反応がよくあったものです。
ではどうすればよいのかと暗澹たる気持ちになったものです。当時は競合他社調査分析マニュアルなどもなく、先輩諸氏のやり方を見よう見まねで技術を習得するしか術はなかったのです。先輩コンサルタント達からのダメ出しの中で調査分析手法を学んだり自分で工夫したりしました。そのうちプロジェクトの開始時点から競合他社調査の準備を開始できるようになり、余裕を持って競合他社の調査分析をし、クライアント企業の役員から誉められる付加価値をつけられるようになったのでした。
ところで企業というものは顧客に対して商品・サービスの価値を提供して対価を頂くというのが基本ですが、競合他社との関係でどのように事業の方向性を考えるかもとても大事です。大きく3つの方向性があります。1つ目は他社と出来るだけ違う土俵で事業を行うというもの、2つ目は他社と同じ土俵で事業を行うがコスト競争力で勝負するというもの、3つ目は事業に取り組む範囲をできるだけ絞ってその範囲で得意技を展開するものです。どういう事業の方向性を採るかは、その会社の経営哲学、得意技、事業環境などを勘案してそれぞれの会社自身で考えて決めるべきですが、差異化戦略を徹底している会社では「他社のまねをしない」「他社のやっていないことに取り組む」という経営哲学・企業風土があるものです。
独自性を発揮するにしろ、コスト優位に持ち込むにしろ、競合他社が何をどうやっているのかを把握しないと事業の方向性を決めにくいものです。日常業務の中で競合会社の状況は断片的には把握できると思いますが、事業戦略を立てる際には出来るだけ体系的に状況把握をして自社との相違点を明確にしたいものです。
本書は、実務家の方々が業務のなかで戦略コンサルティングの思考技術を活用して競合他社調査分析ができるよう具体的に説明したいと思っています。本書の競合他社調査分析技術を活用して競合他社調査レポートを書けば、示唆に富むレポートだ」と言われることが多くなることでしょう。
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本書の全体の流れは以下の通りです。
①競合他社調査分析の基盤
●他社から学ぶ姿勢
●競合他社に対するスタンスをどうとるか?
●独創戦略をとる会社の特徴
●事業戦略構築の判断材料
②調査分析対象となる競合他社の明確化
●5つの力(Five forces)
●5つのタイプの競合会社
●自業界企業の競合企業
●代替品による競合企業
●新規参入競合企業
●買い手競合企業
●売り手競合企業
●競合他社の調査範囲の検討方法
●「5つのタイプの競合会社」の戦略思考フレームワークを活用した思考方法
③競合他社の基本戦略調査分析
●3つの競合会社の基本戦略パターン
●差別化戦略
-他社と差別化を図ろうとする企業文化・社風が重要
-他社との差別化の方法
●コスト優位戦略
-コスト削減の企業文化・社風が重要
-コスト削減は永遠の課題
●集中戦略
④競合他社の市場戦略の調査分析
●ターゲット市場セグメントにおける市場ポジショニング
●ターゲット市場セグメントにおける市場ポジショニング調査分析方法
⑤競合他社の機能別戦略の調査分析
●競合他社のビジネス機能別戦略の調査分析の枠組み
●競合他社の部品仕様・コスト調査分析
-部品コスト推定
-部品設計変更コスト
●競合他社の生産力・生産コスト調査分析
●競合他社の販売力・販売コスト調査分析
⑥競合他社の組織体制戦略等の調査分析
●競合他社の組織体制調査分析の必要性
●組織と言えば、人数把握
●競合他社の組織体制の調査分析方法
⑦競合他社に関する各種調査手段
●競合会社に関する各種調査手段
●インターネット
●文献調査
●インタビュー・アンケート
競合他社分析の技術:ポイント一覧
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(東京オフィス)・NTTデータ経営研究所おいて通算30年以上のビジネスコンサルティング歴を持つ。経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどインターネットビジネス戦略などを多数経験。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築
・現在英語スピーキング脳を構築する効果的な手法も研究中。成果が出たら学習方法論を構築して発表したいと考えている。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると感じている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある
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・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。