- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.05

心に響く英語ことわざ(351)精神分析で有名なジークムント・フロイトの名言 A man should not strive to eliminate his complexes but to get into accord with them.(欠点も長所のうち)
“A man should not strive to eliminate his complexes but to get into accord with them.”
直訳は「男は自分のコンプレックスをなくそうと努力するのではなく、それと調和しようと努力すべきである」で、似た日本語のことわざに「欠点も長所のうち」があります。
ジークムント・フロイトの名言”A man should not strive to eliminate his complexes but to get into accord with them.”の意味
フロイト(Sigmund Freud)のこの名言は、フロイトの著書『自我とエス』(1923)の中で述べられたものです。日本語では、「人間は自分のコンプレックスを除去しようと努めるべきではなく、それと調和を保つように努めるべきである」と訳されます。
この名言は、フロイトのコンプレックス理論に基づいています。フロイトによると、コンプレックスとは、幼少期の未解決な葛藤やトラウマが、無意識の中に抑圧されたものです。コンプレックスは、不安や恐怖などのネガティブな感情を引き起こすだけでなく、思考や行動にも影響を与えます。
フロイトは、コンプレックスを完全に消去しようとすることは、逆に精神的な問題を悪化させる可能性があると主張しました。なぜなら、コンプレックスは無意識の中に存在するため、意識的にコントロールすることが難しいからです。
コンプレックスと調和を保つとは、コンプレックスの存在を受け入れ、自分自身の一部として認めることを意味します。コンプレックスを否定したり、抑圧しようとせずに、コンプレックスと向き合い、理解することで、コンプレックスの影響力を弱めることができます。
フロイトは、コンプレックスと調和を保つためには、精神分析が有効であると考えました。精神分析を通して、無意識に抑圧されたコンプレックスを明らかにし、理解することで、コンプレックスと向き合い、より健全な精神状態を築くことができるのです。
この名言は、自己受容の重要性を訴えています。人は誰でもコンプレックスを抱えていますが、コンプレックスは必ずしも悪いものではありません。コンプレックスを克服しようとするのではなく、コンプレックスと向き合い、自分自身を受け入れることで、より豊かな人生を送ることができるのです。
名言の解釈
この名言は、様々な解釈が可能です。以下に、いくつか例を挙げます。
ありのままの自分を受け入れることの大切さ
コンプレックスは克服すべきものではなく、理解すべきものである
精神分析は、コンプレックスと向き合うための有効な手段である
人間は完璧ではなく、欠点や弱さを受け入れるべきである
この名言は、心理学だけでなく、生き方や自己啓発にも通じる普遍的なメッセージと言えるでしょう。
フロイトのコンプレックス理論
フロイトのコンプレックス理論は、20世紀の心理学に大きな影響を与えました。しかし、フロイトの理論は、科学的な根拠に乏しいという批判もあります。
近年では、フロイトの理論を批判的に再評価する研究が進んでいます。コンプレックスの概念自体は有用であると考えられていますが、フロイトが主張したような無意識の力学や精神分析の効果については、懐疑的な見方も多いようです。
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似た意味の英語のことわざ
“You can’t change who you are, but you can change how you act.”
(あなたは自分自身を変えることはできないが、行動を変えることはできる)
“Accept yourself for who you are, and you will be free.”
(ありのままの自分を受け入れれば、あなたは自由になる)
“What you resist, persists.”
(抵抗すればするほど、それは持続する)
“The only way to overcome your fears is to face them.”
(恐怖を克服する唯一の方法は、それに立ち向かうことである)
“It is not the mountain we conquer but ourselves.”
(私たちが征服するのは山ではなく、自分自身である)
“Embrace your flaws.”
(欠点を受け入れよう)
“Make peace with your past.”
(過去と和解しよう)
“Learn to love yourself.”
(自分を愛することを学ぼう)
“Don’t be afraid to be yourself.”
(ありのままの自分でいることを恐れないで)
“You are worthy of love and respect.”
(あなたは愛と尊敬に値する)
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似た意味の日本語のことわざ
「欠点も長所のうち」:
欠点も自分自身の一部であり、受け入れるべきものであるという意味です。
「曲線が美しい」:
まっすぐな線ではなく、曲線だからこそ美しいというように、欠点も含めて自分自身を肯定的に捉えるという意味です。
「虎は縞模様を外せぬ」:
虎は縞模様を外すことはできないように、生まれ持った性質や欠点は変えることはできないという意味です。しかし、それを受け入れることで、自分らしく生きることができるというメッセージが込められています。
「己の無知を知るは知の始なり」:
自分の欠点や無知を認識することが、成長の第一歩であるという意味です。コンプレックスを克服しようとするのではなく、まずは自分自身をありのままに受け入れることが重要です。
「人は十人十色」:人それぞれ個性や考え方が異なるように、欠点も人それぞれであるという意味です。他者と比較することなく、自分自身を尊重することが大切です。
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ジークムント・フロイトの生い立ち
幼少期
1856年5月6日、オーストリア帝国のモルビア地方フライブルク(現在のチェコ共和国プリボロム)で、毛織物商人ヤコブ・フロイトとアマリエ・フロイトの間に三男として生まれる。
8人兄弟の長男であり、両親から特に可愛がられた。
幼い頃から知性が高く、優秀な生徒として知られていた。
1860年、一家はウィーンに移住。
ウィーン大学に入学し、医学を専攻。
1881年、医師免許を取得。
青年期
ウィーン大学付属総合病院で脳神経病理学を学ぶ。
1885年、フランスの神経学者ジャン=マルタン・シャルコーのもとで研究。
1886年、マルタ・ベルナイスと結婚。
1886年、ウィーンで開業医として開業。
精神分析の創始
1880年代後半、ヒステリー患者の治療に携わる中で、精神分析の重要性を認識。
1895年、ヨーゼフ・ブロイアーとの共同研究に基づいて、初の精神分析理論書である『ヒステリーに関する研究』を出版。
1900年、夢分析に関する著作『夢の解剖』を出版。
1905年、精神分析理論を体系的にまとめた著作『性の三論文』を出版。
その後も、『自我とエス』(1923年)、『文明と不快』(1929年)など、多くの重要な著作を発表。
晩年
1923年、下顎癌を患い、その後16回の手術を受ける。
1938年、ナチスドイツのオーストリア侵攻に伴い、イギリスへ亡命。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(350)社会心理学者のエーリッヒ・フロムの名言 The only truly affluent are those who do not want more than they have.(足るを知る者は富めるなり)
https://www.eionken.co.jp/note/erich-fromm/
心に響く英語ことわざ(352)聖人マザー・テレサの名言 Let us always meet each other with smile, for the smile is the beginning of love.(笑う門には福来る)
https://www.eionken.co.jp/note/mother-teresa-3/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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