- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.05

心に響く英語ことわざ(467)現代経営学の父ピーター・ドラッカーの名言 Start with what is right rather than what is acceptable.(やれることより正しいことを優先)
“Start with what is right rather than what is acceptable.”
直訳は「許容されることよりも、正しいことから始めなさい」で、似た意味のことわざに「やれることより正しいことを優先」があります。
ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)の名言 Start with what is right rather than what is acceptable.の意味
この言葉は、ビジネスや人生において、道徳性や倫理観を重んじることの重要性を説いています。
「What is acceptable」:
これは、世の中の一般的な基準や、組織の慣習、あるいは個人の都合など、ある状況下で許容される範囲のことを指します。
「What is right」
こちらは、実行することが難しいかもしれないが正しい方向性だったり、道徳的に正しく、倫理的に正しい行動、つまり、長期的な視点で見ても正しい判断を意味します。
つまり、ドラッカーは、短期的な利益や周囲の意見に振り回されるのではなく、長期的に見て正しいと信じる道を選ぶべきだと主張しているのです。
この名言が教えてくれること
この名言から、私たちは以下のことを学ぶことができます。
道徳的なリーダーシップの重要性:リーダーは、単に目標を達成するだけではなく、道徳的な指針を示し、組織全体を正しい方向へ導く責任があります。
長期的な視点を持つことの大切さ: 短期的な利益にとらわれず、長期的な視点で物事を考え、行動するべきです。
周囲の意見に振り回されないこと: 周囲の意見を尊重することは大切ですが、自分の信念を貫くことも重要です。
まとめ
ドラッカーのこの名言は、ビジネスの現場だけでなく、私たち一人ひとりの人生にも当てはまる普遍的な真理と言えるでしょう。「正しいこと」を優先することで、私たちはより良い社会を築くことができると、ドラッカーは示唆しているのです。
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似た意味の英語のことわざ
Do what is right, not what is easy. (簡単なことではなく、正しいことをしなさい)
楽な道ではなく、正しい道を選ぶべきだということを強調しています。
The ends do not justify the means. (目的は手段を正当化しない)
目的が正当であっても、手段が不正であればいけないという考え方です。
It is better to do the right thing and get punished than to do the wrong thing and get rewarded. (悪いことをして報われるよりも、正しいことをして罰せられる方が良い)
短期的な損失を恐れずに、正しい行動を選ぶべきだということを示しています。
Honesty is the best policy. (正直は最善の策)
正直であることが、長期的に見て最も良い結果をもたらすことを意味します。
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似た意味の日本語のことわざ
正義は勝つ:
こちらは、必ずしも個人の行動レベルの話ではなく、社会全体における正義の力強さを表す言葉ですが、「正しいこと」が最終的には報われるという普遍的な価値観を共有しています。
悪事を働けば必ず報いがある:
悪いことをすれば、必ずその報いを受けるという意味で、ドラッカーの名言と同様に、道徳的な行動の重要性を強調しています。
正々堂々:
正しいことを堂々と行うという意味で、ドラッカーの名言の「正しいことを優先する」という考え方に合致します。
曲がったことはできない:
正しくないこと、不正なことはできないという意味で、道徳的な行動規範を示しています。
義を見てせざるは勇無しの謂なり:
正しいことを見て見ぬふりをしない、勇気を持って行動することが大切であるという意味です。
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ピーター・ドラッカーの生い立ち
ピーター・ファーディナンド・ドラッカーは、20世紀を代表する経営学者の一人であり、「現代経営学の父」とも呼ばれています。彼の思想は、現代の企業経営に多大な影響を与え続けています。
華やかなウィーンでの出生と動乱の時代
出生: 1909年11月19日、オーストリア・ウィーンの裕福なユダヤ系家庭に生まれました。父親は弁護士、母親は教師という知的環境で育ち、幼少期から読書に親しみ、特に歴史や哲学に興味を持っていました。
ナチスの台頭とヨーロッパからの逃避: ドラッカーが青年期を迎えた頃、ヨーロッパはナチス・ドイツの台頭という大きなうねりに飲み込まれていきました。ユダヤ人であったドラッカーは、この激動の時代を生き抜き、ナチスの迫害を逃れるためにドイツを離れなければなりませんでした。
学者としてのキャリアの始まりと転機
学究への道: ウィーン大学で法学を学び、その後、フランクフルト大学で経済学を学びました。
ナチスからの逃避とイギリスへ: ナチスが政権を握ると、ドラッカーはイギリスに亡命し、証券アナリストやエコノミストとして働きました。
アメリカへの移住: イギリスでの生活の後、1937年にアメリカに移住し、大学教授として教鞭を執る傍ら、執筆活動やコンサルティング活動を開始しました。
アメリカでの活躍と「マネジメント」の提唱
大学教授として: ベニントン大学、ニューヨーク大学、クレアモント大学院大学などで教鞭を執り、多くの学生に経営学を教えました。
『現代の経営』の出版: 1954年に出版された『現代の経営』は、経営学の分野に革命をもたらし、ドラッカーの名声を確立しました。この著書の中で、彼は「マネジメント」という概念を体系化し、現代経営学の基礎を築きました。
多岐にわたる活動: 執筆活動だけでなく、多くの企業に対してコンサルティングを行い、その実践的な知見を世に広めました。
ドラッカーの思想の核
ドラッカーの思想は、常に変化する社会の中で、企業がどのように生き残り、成長していくべきかという問いに対する答えを探求するものでした。彼の主な思想として、以下のようなものが挙げられます。
目的志向の経営: 企業は、単に利益を追求するだけでなく、社会に貢献する目的を持つべきである。
顧客中心の経営: 顧客のニーズを満たすことが、企業の成長の原動力である。
知識労働者の重要性: 知識労働者の能力開発が、企業の競争力の源泉となる。
イノベーションの重要性: 企業は、常に新しい価値を創造し続ける必要がある。
まとめ
ピーター・ドラッカーは、激動の時代を生き抜き、その経験と深い洞察に基づいて、現代経営学の礎を築きました。彼の思想は、時代を超えて、多くの経営者に影響を与え続けています。ドラッカーの生い立ちを知ることは、彼の思想をより深く理解するための重要な一歩となるでしょう。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(466)米国の発明王トーマス・エジソンの名言 Nearly every person who develops an idea works at it up to the point where it looks impossible, and then gets discouraged. That’s not the place to become discouraged.(諦めたらそこで試合終了)
https://www.eionken.co.jp/note/thomas-edison-b/
心に響く英語ことわざ(468)社会心理学者のエーリッヒ・フロムの名言 There is only one meaning of life: the act of living itself.(今を生きる)
https://www.eionken.co.jp/note/erich-fromm-b/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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