- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.05

心に響く英語ことわざ(376)「異邦人」で有名なフランス人作家アルベール・カミュの名言 You will never be happy if you continue to search for what happiness consists of.(幸せは自分の心の内にありて外にはなし)
“You will never be happy if you continue to search for what happiness consists of. You will never live if you are looking for the meaning of life.”
直訳は「幸福とは何かを探し続けていたら、決して幸せにはなれない。人生の意味を探し続けていたら、決して生きることはできない」で、似た意味の日本語のことわざに「幸せは自分の心の内にありて外にはなし」があります。
アルベール・カミュの名言”You will never be happy if you continue to search for what happiness consists of. You will never live if you are looking for the meaning of life.”の意味
この有名な言葉は、20世紀のフランスの哲学者・小説家であるアルベール・カミュ(Albert Camus)が残したものです。一見シンプルな文脈ながら、幸福の本質と真の生き方について深い示唆を与えてくれます。
幸福の本質を追い求めることの落とし穴
カミュは、幸福とは定義や答えを求めるものではなく、日々の生活の中で体験するものであると説いています。
私たちは、ついつい「幸せとは何か?」「どうすれば幸せになれるのか?」と答えを求めてしまいます。しかし、そのような思考に囚われ続けると、目の前の小さな幸せを見逃し、心の充足感を得られなくなってしまうのです。
固執から解放され、今この瞬間を生きる
カミュは、人生の意味を問い続けることよりも、今この瞬間に集中して生きることの重要性を訴えています。
過去にとらわれず、未来への不安に囚われず、目の前のことに全力を注ぐこと。そうすることで、真の充実感と喜びを見出すことができるのです。
名言から読み解ける、カミュの哲学
この名言は、カミュの代表作である『シーシュポスの神話』における彼の哲学を凝縮したものです。
シーシュポスは、神々に反抗した罰として、永遠に巨岩を山の上まで運び上げ、それが頂点に達するとまた麓へ落としてしまうという苦行を繰り返す神話的人物です。
カミュはこの神話になぞらえ、人生に意味や目的を見出すことは不可能であると主張します。しかし、それでもなお、絶望することなく、日々の営みを全うすることが真の生き方であると説いているのです。
現代社会への警鐘:幸福至上主義の弊害
カミュの名言は、現代社会における「幸福至上主義」の弊害にも警鐘を鳴らしています。
私たちは、常に「幸せ」を求め、「成功」を追い求め、周囲と比較し続けるプレッシャーにさらされています。しかし、そのような価値観に惑わされ続けることは、真の幸福から遠ざかってしまうだけでなく、心の病や人間関係の悪化など、様々な問題を引き起こす可能性があります。
真の幸福と生き方を見つけるためのヒント
カミュの言葉から、私たちは以下のヒントを得ることができます。
固定観念や思い込みを手放し、目の前の小さな幸せに気づく
人生の意味や目的を追い求めるよりも、今この瞬間に集中して生きること
比較や競争ではなく、自分自身の価値観や生き方を大切にする
困難や挫折にも負けず、絶望することなく、日々の営みを全うする
カミュの名言は、私たちに大切な気づきを与えてくれます。真の幸福とは何か、真の生き方とは何か。これらの問いに対する答えは、一人ひとりの中にあります。
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似た意味の英語のことわざ
“The pursuit of happiness is the greatest obstacle to happiness.”
(マタイによる福音書)
日本語訳: 「幸福の追求こそが、幸福の最大の障害である。」
このことわざは、幸福を追い求め続けることは、かえって幸福から遠ざかってしまうという皮肉を込めた表現です。
“Happiness is not something ready made. It comes from your own actions.”
(ダライ・ラマ14世)
日本語訳: 「幸福は、最初から出来上がったものではない。それは、あなた自身の行動から生まれるものだ。」
このことわざは、幸福は他人に与えられるものではなく、自分自身の努力や行動によって生み出していくものであることを強調しています。
“The meaning of life is not to be discovered, it is to be created.”
(ジョセフ・キャンベル)
日本語訳: 「人生の意味は発見されるものではなく、創造されるものである。」
このことわざは、人生の意味はあらかじめ決まっているものではなく、自分自身の手で創造していくものであるという考え方を示しています。
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似た意味の日本語のことわざ
「幸せは自分の心の内にありて外にはなし」
このことわざは、真の幸福は外的な要因ではなく、自分の心の内にこそ存在するという考え方を表しています。
「人生は旅なり道程こそ肝心なり」
このことわざは、人生の目的は目的地にたどり着くことではなく、その過程にあるという考え方を表しています。
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アルベール・カミュ:波乱に満ちた生い立ちと不屈の精神
アルジェリアの陽光と影:幼少期と家族
アルベール・カミュは、1913年11月7日、フランス領アルジェリアのモンドヴィ(現ドレアン)に生まれました。父リュシアンは農場労働者、母カトリーヌはスペイン系の家系を持つ無学の女性でした。
カミュが1歳の時、第一次世界大戦が勃発し、父はフランス軍に召集され戦死。幼いカミュは母と兄と共に、アルジェの労働者街ベルクール地区にある祖母の家に移り住みます。
貧しいながらも、カミュは母と兄に深い愛情を注がれ、幸せな幼少期を過ごしました。しかし、1920年代後半には、アルジェリア社会におけるフランス人とアルジェリア人の対立が激化し、カミュは植民地支配の現実と差別を目の当たりにします。
学問への情熱と結核との闘い:青年期
カミュは、小学校教師ルイ=ジェルマンに出会い、彼の才能を見抜かれて奨学金を得てリセ=ビジョーに進学します。そこで哲学者アランの影響を受け、哲学や文学への情熱を育みます。
しかし、1930年、カミュは重度の結核を発症し、死の宣告を受けます。絶望と闘いながらも、彼は学問への情熱を捨てず、アルジェ大学に進学します。
大学では哲学を専攻し、同時にジャーナリストとして活動を始めます。1935年には、最初の小説『変身』を発表し、若手作家として注目を集めます。
抵抗運動と創作活動:第二次世界大戦
1939年、第二次世界大戦が勃発。カミュはアルジェリアに戻り、演劇活動や反ファシズム運動に参加します。
1942年には、アルジェリアを支配していたヴィシー政権に抵抗する地下組織に加わり、反戦活動を行います。
戦争の悲惨さを目の当たりにしたカミュは、その体験を小説や戯曲に昇華させていきます。1942年には代表作である小説『異邦人』を発表し、その後の作品『シーシュポスの神話』『ペスト』などで、不条理な世界の中で生きることの意味を問いかけます。
名声と葛藤:戦後と晩年
1945年、フランスが解放されると、カミュは一躍有名作家となります。しかし、彼は名声や富に興味はなく、あくまでも真実を追求する姿勢を貫きました。
1951年には、戯曲『反抗的人間』を発表し、共産主義への批判を展開。当時の知識人や左派勢力から激しい反発を受けました。
1957年、カミュはノーベル文学賞を受賞しますが、植民地支配の問題やアルジェリア独立戦争への複雑な思いから、受賞を辞退しようとします。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(375)「レ・ミゼラブル」で有名なフランスの作家ヴィクトル・ユーゴーの名言 Adversity makes men, and prosperity makes monsters.(艱難汝を強す(かんなんなんじをつよす))
https://www.eionken.co.jp/note/victor-hugo-4/
心に響く英語ことわざ(377)「華麗なるギャツビー」で有名な米国人作家スコット・フィッツジェラルドの名言 Never confuse a single defeat with a final defeat.(七転び八起き)
https://www.eionken.co.jp/note/francis-scott-key-fitzgerald-3/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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