- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ1
公開日
2025.04.02
更新日
2025.08.31

心に響く英語ことわざ(350)社会心理学者のエーリッヒ・フロムの名言 The only truly affluent are those who do not want more than they have.(足るを知る者は富めるなり)
“The only truly affluent are those who do not want more than they have.”
直訳は「真の豊かさは、自分が持っているもの以上のものを望まないことにある」で、似た日本語のことわざに「足るを知る者は富めるなり」があります。
エーリッヒ・フロムの名言”The only truly affluent are those who do not want more than they have.”の意味
エーリッヒ・フロム(Erich Fromm)のこの名言は、フロムの著書「Having or Being」(1976)の中で述べられています。この本の中で、フロムは、現代社会における物質主義と消費主義を批判し、真の幸福とは何かについて論じています。
フロムによれば、真の豊かさとは、物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさであるといいます。物質的な豊かさとは、お金や持ち物などの外的なものであり、いくらあっても、いつかは尽きてしまいます。一方、精神的な豊かさとは、内面的な充実感や満足感であり、お金では買えません。
真の豊かさを得るためには、自分が持っているもの以上のものを望まないことが大切です。常に「もっともっと」と欲求を膨らませていると、いつまで経っても満足することができず、常に不安や不満を感じることになります。
一方、自分が持っているものに感謝し、それを十分に味わうことができれば、たとえ物質的に豊かではない生活でも、真の幸福を感じることができます。
フロムは、この名言を通して、物質主義ではなく、精神的な豊かさを追求することの重要性を訴えているのです。
この名言から得られる教訓
この名言から、以下のような教訓を得ることができます。
物質的な豊かさよりも、精神的な豊かさを追求する
自分が持っているものに感謝する
常に「もっともっと」と欲求を膨らませない
今この瞬間を大切に生きる
これらの教訓は、現代社会を生きる私たちにとって、とても重要です。物質主義や消費主義に流されず、自分にとって本当に大切なものを見つけることができれば、より幸福な人生を送ることができるでしょう。
フロムの思想
フロムは、ドイツ出身の心理学者、社会哲学者、精神分析家です。彼は、20世紀の最も影響力のある思想家の一人であり、現代社会における人間の問題について多くの著作を残しました。
フロムの思想は、主に以下の3つの柱で構成されています。
自由主義: 人間は生まれながらにして自由であり、自分の可能性を最大限に発揮する権利を持っている
人間愛: 人間は互いに愛し合い、助け合うべきである
創造性: 人間は創造的な存在であり、常に新しいものを生み出すべきである
フロムの思想は、現代社会における様々な問題を考える上で、大きな指針を与えてくれます。
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似た意味の英語のことわざ
Contentment is wealth.
このことわざは、「満足は富である」という意味です。物質的な豊かさよりも、精神的な豊かさを重視するという意味合いがあります。
Less is more.
このことわざは、「少ないことは多い」という意味です。必要最低限のものだけあれば十分だという考え方を表しています。
Gratitude is the key to happiness.
このことわざは、「感謝の気持ちは幸福の鍵である」という意味です。自分が持っているものを感謝することで、真の幸福を感じることができるという意味合いがあります。
他にも、以下のようなことわざが挙げられます。
Comparison is the thief of joy.
(比較は喜びの泥棒である)
Money can’t buy happiness.
(お金で幸せは買えない)
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似た意味の日本語のことわざ
足るを知る者は富めるなり
このことわざは、自分が持つものや状況に満足し、必要以上に欲張らないことが真の豊かさであることを意味します。
見ぬものは持たぬもの
このことわざは、目の前にないものは自分のものにならないことを意味し、目の前のものを大切にすべきであることを示唆しています。
欲は限りなし
このことわざは、人間の欲求は際限がないことを意味し、常に「もっともっと」と欲張っていると、真の幸福は得られないことを示唆しています。
知足常楽(ちそくじょうらく)
このことわざは、自分の境遇に満足し、感謝の気持ちを持つことが真の幸福であることを意味します。
他にも、以下のようなことわざが挙げられます。
満足は第一の富
欲は身を滅ぼす
有るがままに生きよ
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エーリッヒ・フロムの生い立ち
幼少期
1900年3月23日、ドイツのフランクフルト・アム・マインで、裕福なユダヤ人家庭に生まれる。
幼い頃から祖父の影響を受け、熱心にユダヤ教の教えを学ぶ。
13歳になると、タルムード学者になるために本格的に研究を始める。
第一次世界大戦勃発の影響を受け、思春期は戦争の影に覆われる。
青年期
1918年、18歳で高校を優等で卒業し、フランクフルト大学に入学。
社会学、心理学、哲学を学び、1922年に学位を取得。
1926年、26歳の時、同僚で10歳年上の精神分析家フリーダ・ライヒマンと結婚。
この頃、様々な理由から、正統派ユダヤ教から離れる。
仏教にも出会い、大きな感銘を受ける。
フランクフルト社会研究所時代
1930年、30歳の時、フランクフルト社会研究所の心理学顧問に就任。
同時期にベルリンで開業医として活動を開始。
1933年、ナチスが政権を掌握すると、ドイツ国内での活動が困難になる。
1934年、スイス・ジュネーヴに移住。
アメリカ亡命
1934年、さらにアメリカへ移住。
ニューヨーク、シカゴ、コロンビア大学などで教鞭を執る。
1941年、アメリカ市民権を取得。
1943年、メキシコに移住し、メキシコ国立自治大学で心理学を教える。
晩年
1950年代以降、アメリカに戻り、執筆活動に専念。
1970年代には、スイスに移住。
フロムの生い立ちを形作った出来事
第一次世界大戦: フロムは第一次世界大戦中に青年期を過ごし、戦争の悲惨さを目の当たりにしました。この経験は、彼の平和主義的な思想に大きな影響を与えました。
ナチスの台頭: フロムはユダヤ人であり、ナチスの迫害から逃れるためにドイツを脱出しました。この経験は、彼の全体主義に対する批判的な視点を形作るのに役立ちました。
精神分析との出会い: フロムは、精神分析家フリーダ・ライヒマンと結婚し、精神分析について学びました。この経験は、彼の心理学への関心を高め、後の著作に大きな影響を与えました。
アメリカでの経験: フロムはアメリカで多くの時間を過ごし、アメリカ社会を深く理解しました。この経験は、彼の社会批判的な著作に反映されています。
フロムの思想への影響
フロムの生い立ちにおける様々な経験は、彼の思想に大きな影響を与えました。彼の著作は、人間性の探求、社会批判、平和主義、愛の大切さなど、幅広いテーマを扱っています。
フロムは、20世紀の最も影響力のある思想家の一人であり、その思想は現代社会においてもなお重要性を持ち続けています。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(349)イタリアの政治思想家マキャベリの名言 Whoever desires constant success must change his conduct with the times.(時勢は一変する)
https://www.eionken.co.jp/note/machiavelli/
心に響く英語ことわざ(351)精神分析で有名なジークムント・フロイトの名言 A man should not strive to eliminate his complexes but to get into accord with them.(欠点も長所のうち)
https://www.eionken.co.jp/note/sigmund-freud-2/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など26冊がある。