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公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.05

心に響く英語ことわざ(406)ドイツの哲学者ニーチェの名言 When marrying, ask yourself this question: Do you believe that you will be able to converse well with this person into your old age? Everything else in marriage is transitory.(夫婦は箸の如し)
“When marrying, ask yourself this question: Do you believe that you will be able to converse well with this person into your old age? Everything else in marriage is transitory.”
直訳は「結婚する時は自問せよ。『年をとってもこの相手と会話できるだろうか』と。 その他は年月が経てば、いずれは変化することだ」で、似た意味の日本語のことわざに「夫婦は箸の如し」があります。
“transitory”は「一時的な、はかない、つかの間の」などを意味し、発音は“trǽnsətɔ̀r”、音節は“tran・si・to・ry”です。
ニーチェの名言”When marrying, ask yourself this question: Do you believe that you will be able to converse well with this person into your old age? Everything else in marriage is transitory.”の意味
ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche)のこの名言は、「結婚において最も重要なのは、生涯を通して互いに深く理解し、語り合える関係性を築けるかどうかである」というメッセージを伝えています。
「会話」という言葉は、単に言葉を交わすだけでなく、互いの考えや感情を理解し合い、共感し、深いレベルで繋がるコミュニケーションを意味します。
ニーチェは、外見的な魅力や経済的な安定など、結婚生活において一時的に重要と思われる要素は、時間と共に変化していくものであると指摘しています。しかし、真の絆で結ばれた夫婦は、どんな困難にも共に歩み、互いを支え合い、生涯を通して深い会話を続けることができるのです。
この名言は、結婚を人生における重要な決断として捉え、相手との会話を通して築ける関係性の深さこそが、真の幸せにつながることを示唆しています。
以下、この名言をより深く理解するために、いくつかのポイントを詳しく解説します。
真の「会話」とは何か
ニーチェが言う「会話」とは、単に表面的なおしゃべりをすることではありません。互いの心の奥底にある考えや感情を正直に伝え合い、共感し、理解し合う深いコミュニケーションを指します。
そのためには、以下のような要素が重要となります。
相互理解: 相手の言葉に耳を傾け、その言葉の裏にある真意を理解しようと努めること。
共感: 相手の気持ちに共感し、自分自身のことのように感じること。
正直さ: 自分の考えや感情を正直に伝え、相手を欺いたり傷つけたりしないこと。
受容: 相手の違いを受け入れ、尊重すること。
このような深いレベルでの「会話」は、夫婦間の信頼関係を築き、困難を乗り越える力となります。
結婚生活における変化
ニーチェは、外見的な魅力や経済的な安定など、結婚生活において一時的に重要と思われる要素は、時間と共に変化していくものであると指摘しています。
確かに、若い頃は外見に惹かれたり、経済的な安定を求めて結婚する人も多いでしょう。しかし、年齢を重ねるにつれて、外見は変化し、経済状況も変化する可能性があります。
そのような変化の中で、夫婦関係を維持するためには、互いを理解し、支え合える深い関係性が不可欠です。
真の幸せを見つけるため
ニーチェの名言は、結婚生活に限らず、人生において真の幸せを見つけるためには、深い人間関係を築くことが重要であることを示唆しています。
家族、友人、恋人など、互いを理解し、支え合える深い関係性を持つことで、人は人生の様々な困難を乗り越え、真の幸福感を得ることができます。
結婚を考える際の指針として
結婚を考える際には、相手と深いレベルでの「会話」ができるかどうかを自問してみることをおすすめします。
外見や経済条件だけでなく、互いの価値観や人生観、将来の夢などを共有し、共感できるかどうかが重要です。
また、相手との時間を楽しみ、一緒にいることが心地よいと感じられるかどうかも、重要な判断基準となります。
ニーチェの名言は、結婚の本質について深く考えさせられる示唆に富んだ言葉です。結婚を考える人だけでなく、すべての人にとって、真の幸せとは何かを考えるきっかけとなるでしょう。
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似た意味の英語のことわざ
“A good marriage is like a good book – it keeps getting better with age.” (良い結婚は良い本のようなもの – 年齢を重ねるほど良くなる)
“Happy marriages are built on a foundation of love, trust, and respect.” (幸せな結婚は、愛、信頼、尊敬という土台の上に築かれる)
The best marriages are those where both partners are willing to work at it.”
(最高の結婚は、どちらも努力を惜しまない二人の間にある)
Forgive each other.”
(互いを許し合う)
“Never take each other for granted.”
(相手を当たり前と思わない)
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似た意味の日本語のことわざ
「夫婦は箸の如し」
夫と妻は箸のようなものです。
このことわざは、調和のとれた結婚は、2本の箸が完璧に組み合わさって1本として機能するようなものであることを暗示しています。パートナー間の相性と相互理解の重要性を強調しています。
「老いてこそ楽」
本当の楽しみは老いてこそ。
このことわざは、時間の経過とともに深まる理解と感謝が、後年、より深く満足のいく関係につながる可能性があることを示唆しています。
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フリードリヒ・ニーチェの生い立ち
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェは、ドイツの著名な哲学者、文化批評家、古典文献学者として知られています。1844年10月15日、プロイセン王国のライプチヒ近郊のレーッケン村で生まれました。彼の生い立ちと初期の人生は、彼の哲学的見解に大きな影響を与え、世界に対する独特な視点の形成に貢献しました。
幼少期と家族環境
ニーチェの幼少期は、恵まれた環境と喪失という両面がありました。父親のカール・ルートヴィヒ・ニーチェはルター派の牧師でしたが、ニーチェがわずか4歳の時に亡くなりました。この早すぎる死は、ニーチェに深い影響を与え、彼の人生を通して信仰と道徳に関する疑問と向き合うことになりました。
しかし、この悲劇にもかかわらず、ニーチェの家族は彼に支えと刺激を与えてくれました。母親のフランツィスカ・ニーチェは、強く知的な女性であり、息子に学習への愛と文学への情熱を植え付けました。また、ニーチェは妹のエリーザベトと親しい関係を持っており、彼女は生涯を通して彼の親友でありました。
教育と知的覚醒
ニーチェの学業生活は、14歳で名門の古典ギムナジウムであるポルタ学校に入学したことから始まりました。ここで彼は、特に言語学と文献学で秀でていました。古代ギリシャ・ローマ世界に触れることで、彼は哲学、宗教、文化への深い関心を抱くようになりました。
1864年、ニーチェは神学と古典文献学を学ぶためにボン大学に入学しました。しかし、彼の宗教的な疑問と伝統的なキリスト教の教えに対する懐疑主義の高まりにより、彼は神学を放棄し、文献学に専念することになりました。
1865年、ニーチェはバーゼル大学に移り、著名な文献学者であり歴史家であるウルリッヒ・ケーラーの影響を受けました。ケーラーはニーチェに、悲観主義的で反形而上学的な見解がニーチェ自身の哲学の発展に深い影響を与えたドイツの哲学者アルトゥール・ショーペンハウアーの作品を紹介しました。
学業キャリアと哲学的貢献
ニーチェの学業キャリアは、輝きと困難の両方がありました。1869年、彼はわずか24歳の若さでバーゼル大学の古典文献学の教授に任命されました。これは、若い学者にとって驚くべき功績でした。しかし、激しい偏頭痛を含むその他の病状が悪化したため、1879年に早期退職を余儀なくされました。
身体的な制約にもかかわらず、ニーチェは執筆活動を続け、道徳、宗教、人間性、人生の意味など、深遠なテーマを探求する膨大な量の哲学的作品を生み出しました。
重要な哲学概念と影響
ニーチェの哲学は、偶像破壊的な性質と伝統的な哲学的枠組みの拒否を特徴としています。彼は有名な「神は死んだ」という言葉で、伝統的な宗教的信念の終焉と、個人が自分自身の価値観と人生の意味を創造する必要性を宣言しました。
ニーチェの思想は、ショーペンハウアー、ソーレン・キエルケゴール、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー、ブレズ・パスカルなどのフランスの道徳主義者など、多様な思想家から大きな影響を受けています。また、古代ギリシャ哲学、特にプラトン、アリストテレス、ヘラクレイトスの作品からもインスピレーションを得ています。
主要な作品と永続的な遺産
ニーチェの最も有名な作品には、「ツァラトゥストラかく語りき」、「善悪の彼岸」、「道徳の系譜」、「批判の価値に関する試論」などがあります。これらの作品は、格言的なスタイルと詩的な言語で特徴づけられ、西洋思想に深い影響を与え続けています。
ニーチェの思想はさまざまな解釈と再解釈を受け、彼の遺産は現在も議論の対象となっています。しかし、彼は間違いなく哲学史における最も影響力があり、議論の余地がある人物の一人であることは間違いありません。確立された規範を批判的に問うこと、自己反省すること、そしてたとえそれが不安定な結論につながるとしても、真実の探求を続けることの重要性を、彼のラディカルな問いかけと実存主義的なテーマの探求は、私たちに思い出させてくれます。
1889年、ニーチェは精神的な病を患い、完全に行動不能になりました。
ニーチェは、その短い生涯の中で、膨大な量の哲学的著作を残しました。彼の思想は、その過激さと独創性から、多くの論争を巻き起こしてきましたが、その影響力は20世紀以降も衰えることなく、現代思想に大きな影響を与え続けています。
ニーチェ哲学の特徴
ニーチェ哲学の特徴は以下の通りです。
伝統的な道徳や宗教の価値観の批判: ニーチェは、伝統的な道徳や宗教の価値観を弱さや奴隷の精神の表れとして批判しました。彼は、新たな価値観の創造を訴え、個人の自由と責任を強調しました。
権力意志: ニーチェは、人間の基本的な衝動を「権力意志」と見なしました。権力意志とは、自己を肯定し、自己を高めるための意志です。ニーチェは、権力意志を道徳の基礎としました。
超人: ニーチェは、伝統的な道徳を超えた新しい人間像である「超人」を提唱しました。超人とは、既存の価値観に縛られず、自分自身の価値観を創造する自由な精神を持つ人間です。
永遠回帰: ニーチェは、すべての出来事が永遠に繰り返されるという「永遠回帰」の思想を提唱しました。永遠回帰の思想は、人生のすべての瞬間を最大限に生きることの重要性を強調します。
ニーチェの哲学は、複雑で難解なものです。しかし、ニーチェの思想は、現代社会における様々な問題を考える上で、重要なヒントを与えてくれます。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(405)古代ギリシャの哲学者ソクラテスの名言 Remember that there is nothing stable in human affairs; therefore avoid undue elation in prosperity, or undue depression in adversity.(禍福はあざなえる縄のごとし)
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心に響く英語ことわざ(407)孔子の名言 Fine words and an insinuating appearance are seldom associated with true virtue.(巧言令色鮮し仁)
https://www.eionken.co.jp/note/confucius/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
Amazon.co.jp: 山下長幸: 本、バイオグラフィー、最新アップデート