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公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.05

心に響く英語ことわざ(381)英国女流作家ジョージ・エリオットの名言 The responsibility of tolerance lies with those who have the wider vision.(百人に聞けば百通りの答えがある)
“The responsibility of tolerance lies with those who have the wider vision.”
直訳は「寛容の責任は、より広い視野を持つ人々にある」で、似た意味の日本語のことわざに「百人に聞けば百通りの答えがある」があります。
ジョージ・エリオットの名言”The responsibility of tolerance lies with those who have the wider vision.”の意味
ジョージ・エリオット(George Eliot)のこの名言は、深い意味を持つ言葉であり、さまざまな解釈が可能です。 以下、この名言をより深く理解するために、いくつかのポイントを詳しく説明します。
寛容の意味
まず、「tolerance」という言葉は、日本語で「寛容」と訳されますが、単に「他人の意見や考えを受け入れること」という意味ではありません。
真の寛容とは、自分とは異なる意見や価値観を持つ人々に対しても、理解しようと努め、尊重することです。
つまり、単に相手の意見に同意するだけでなく、なぜそのような考えを持つのかを理解しようと努力し、共感することが大切なのです。
視野の広さ
この名言において、「wider vision」という言葉は、より広い視野を持つ人という意味です。
これは、自分自身の経験や価値観にとらわれず、物事を多角的に捉えることができる人のことを指します。
広い視野を持つ人は、自分とは異なる意見や考えを持つ人々の立場にも理解を示し、寛容な態度で接することができるのです。
寛容の責任
そして、この名言の最も重要な部分は、「寛容の責任は、より広い視野を持つ人にある」という点です。
つまり、社会において寛容な態度を広めるためには、自分自身の視野を広げ、理解しようと努力する人が増える必要があるということです。
多様な意見や価値観を受け入れる寛容な社会を実現するためには、一人一人が広い視野を持ち、寛容の責任を果たしていくことが求められるのです。
名言の解釈
この名言を踏まえると、ジョージ・エリオットは、真の寛容は単なる受動的な態度ではなく、より広い視野を持つ人々が積極的に担っていくべき責任であると訴えていると考えられます。
社会における偏見や差別をなくし、よりインクルーシブな社会を実現するためには、私たち一人一人が広い視野を持ち、寛容の精神を実践していくことが重要なのです。
現代社会への示唆
この名言は、現代社会においても非常に重要です。
グローバル化やインターネットの発展により、私たちは様々な価値観や文化を持つ人々と接する機会が増えています。
しかし、同時に、偏見や差別、ヘイトスピーチなどの問題も深刻化しています。
このような状況において、ジョージ・エリオットの言葉は、私たちに寛容の重要性を改めて考えさせてくれます。
より良い社会を築くためには、自分自身の視野を広げ、異なる意見や価値観を持つ人々を尊重する姿勢が不可欠なのです。
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似た意味の英語のことわざ
“It is the mark of an educated mind to be able to entertain a thought without accepting it.”
アラン・ワッツ (Alan Watts)
このことわざは、「教養のある人の特徴は、自分の意見と異なる考えを受け入れることができることである」という意味です。
“Tolerance is the ability to put up with the people you might not like.”
デヴィッド・ベックハム (David Beckham)
このことわざは、「寛容とは、自分が好きではない人々を我慢する能力である」という意味です。
“To err is human, to forgive divine.”
アレクサンダー・ポープ (Alexander Pope)
このことわざは、「過ちを犯すのは人間であり、人を許すのは神のような行為である」という意味です。
“The only true wisdom is in knowing you know nothing.”
ソクラテス (Socrates)
このことわざは、「真の知恵は、自分が何も知らないことを知っていることである」という意味です。
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似た意味の日本語のことわざ
「大樹は風に揺れ、小草は風に吹かれる」
このことわざは、人はそれぞれ立場や能力が異なるので、異なる基準で物事を判断すべきではないという意味です。
「百人に聞けば百通りの答えがある」
このことわざは、物事には様々な見方があることを理解し、寛容な態度で接するべきという意味です。
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ジョージ・エリオットの生い立ち
幼少期:恵まれた環境と感受性豊かな少女
1819年11月22日、メアリー・アン・エヴァンズ(Mary Anne Evans)として、イギリス中部のワーウィックシャー州ナニートン村で生まれる。
父親は裕福な土地差配人で、メアリーは恵まれた環境の中で育つ。
5歳の時に母を亡くし、その後継母の影響で厳格なプロテスタントの信仰を持つ。
幼い頃から知的好奇心旺盛で、読書に親しむ。特に、歴史や哲学書を好む。
15歳まで地元の寄宿学校に通い、その後は自宅で教育を受ける。
青年期:思想と文学への目覚め
22歳の時、父親と共にカヴェントリー近郊へ移住。そこで、思想家チャールズ・ブレイと出会い、大きな影響を受ける。
ブレイの影響で、従来の厳格なプロテスタント信仰に疑問を抱き、より自由な思想に目覚める。
また、ブレイを通じて、文学作品にも関心を持つようになり、積極的に創作活動に取り組む。
1841年、22歳で姉と共著で『森の生活』を出版。これが初めての出版作品となる。
1842年、ロンドンへ移住し、評論家・翻訳家として活動を開始。
1846年、ドイツ哲学者ダヴィート・シュトラウスの『イエス伝』を翻訳出版。この翻訳は大きな反響を呼び、エリオットの名を広く知らしめる。
30代:作家としての本格的な活動と社会との関わり
1851年、32歳の時、評論雑誌『ウェストミンスター・レビュー』の副主筆に就任。
同誌で様々な社会問題に関する論考を発表し、社会改革運動にも積極的に参加する。
1856年、37歳の時、ペンネーム「ジョージ・エリオット」で小説『アダム・ビード』を出版。
この作品は大きな成功を収め、エリオットは名実ともにイギリスを代表する小説家となる。
その後、『牧師たちの物語』(1858年)、『フロス河畔の水車小屋』(1860年)、『サイラス・マーナー』(1861年)、『ロモラ』(1863年)、『ダニエル・デロンダ』(1876年)など、数々の名作を生み出す。
作品は、リアリズムに基づいた人間描写と、社会問題への鋭い洞察力で高く評価される。
特に、女性の生き方や社会における格差問題などをテーマとした作品は、多くの読者に共感を呼び起こした。
晩年:円熟した作品と静かな晩年
1878年、49歳の時、長年の友人であった哲学者ジョージ・ヘンリー・ルイスと正式に結婚。
結婚後は、ルイスと共にロンドン郊外のワットフォードに住む。
死後も、作品は高く評価され続け、イギリス文学史上最も重要な作家の一人として称賛されている。
ジョージ・エリオットの人生は、恵まれた環境で育ちながらも、常に社会問題や人間の生き方について深く考え、真摯な創作活動を続けた稀有な作家であったと言えるでしょう。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(380)「不思議の国のアリス」で有名な英国作家ルイス・キャロルの名言 One of the deep secrets of life is that all that is really worth the doing is what we do for others.(施す者はこそ受け取り)
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心に響く英語ことわざ(382)「人間喜劇」で有名なフランス人作家バルザックの名言 The habits of life form the soul, and the soul forms the countenance.(習慣は第二の天性)
https://www.eionken.co.jp/note/honore-de-balzac-3/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
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・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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