- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ
公開日
2025.04.02
更新日
2025.04.06

心に響く英語ことわざ(549)人種差別撤廃運動で有名なキング牧師の名言 We must combine the toughness of the serpent with the softness of the dove, a tough mind and a tender heart.(剛柔二備(ごうじゅうにび))
“We must combine the toughness of the serpent with the softness of the dove, a tough mind and a tender heart.”
直訳は「私たちは蛇の強靭さと鳩の柔らかさ、強靭な精神と優しい心を組み合わせなければならない」で、似た意味のことわざに「剛柔二備(ごうじゅうにび)」があります。
キング牧師(Martin Luther King Jr.)の名言 We must combine the toughness of the serpent with the softness of the dove, a tough mind and a tender heart.の意味
キング牧師のこの名言は、非暴力抵抗運動を成功させるために必要な、強さと優しさの両立を説いています。
蛇の強さとハトの柔らかさ:
蛇は、防衛本能が強く、必要があれば攻撃することもできる動物です。一方、ハトは平和の象徴であり、穏やかで優しい動物です。この対比を通して、キング牧師は、非暴力抵抗運動においては、単に優しく穏やかなだけでは不十分であり、同時に強い意志と決意を持つ必要があることを示唆しています。
タフな心と優しい心: 「tough mind」は、困難な状況にも屈せず、目標に向かって突き進む強い精神力を意味します。一方、「tender heart」は、周囲の人々への共感や思いやり、そして非暴力を貫くための慈悲深い心を指します。
名言が示す非暴力抵抗運動の考え方
キング牧師は、この名言を通じて、非暴力抵抗運動が単なる受動的な抵抗ではなく、積極的で戦略的な行動であることを強調しています。非暴力抵抗運動家は、不当な扱いに対して怒りや憎しみを抱くことなく、冷静に状況を分析し、効果的な行動を起こす必要があります。同時に、相手への共感と慈悲心を失うことなく、平和的な解決を目指さなければなりません。
この名言の現代における意味
この名言は、単に過去の公民権運動の文脈にとどまらず、現代社会においても普遍的な価値を持っています。様々な社会問題に対して、暴力に訴えることなく、平和的に解決を図ろうとする際には、キング牧師のこの言葉は、私たちに重要な教訓を与えてくれます。
社会運動: 社会的不正に対して声を上げ、変革を求める際には、強固な意志と同時に、相手への共感と理解に基づいた対話が必要となります。
対人関係:
個人間の対立や衝突を解決する際にも、この言葉は有効です。相手の意見に耳を傾け、共感する一方で、自分の意見をしっかりと主張する姿勢が大切です。
自己成長:
自分自身を変えたい、成長したいと願うときにも、この言葉は力を与えてくれます。困難な状況にも立ち向かう強さと、同時に自分自身を優しく見つめる心の両方を育むことが重要です。
まとめ
キング牧師のこの言葉は、非暴力抵抗運動の核となる考え方であり、現代社会においても、様々な場面で私たちに示唆を与えてくれる普遍的なメッセージです。
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似た意味の英語のことわざ
“Be wise as serpents and harmless as doves.” 蛇のように賢く、鳩のように無害であれ。
この言葉は聖書(マタイ10:16)に由来し、知恵と無害さを同時に持つことを勧めています。キング牧師の言葉と非常に近い概念です。
“Strength and gentleness go hand in hand.” 強さと優しさは表裏一体だ。
強さと優しさは両立できるという考え方を表現したことわざです。キング牧師の「強靱な精神と優しい心」というメッセージに通じます
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似た意味の日本語のことわざ
剛柔二備(ごうじゅうにび)
このことわざは、強さ(剛)と柔らかさ(柔)の両方を兼ね備えることの重要性を説いています。キング牧師の言葉が表現する「ヘビの強靱さ」と「ハトの柔軟性」という対比的な概念をよく表しています。
柳に風(やなぎにかぜ)
このことわざは、柳のようにしなやかに、どんな状況にも柔軟に対応することを意味します。キング牧師の言葉にある「優しい心」や「柔軟性」の概念に通じるものがあります。
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マーティン・ルーサー・キング Jr. の生い立ち
マーティン・ルーサー・キング Jr. は、20世紀における最も重要な指導者の一人であり、アメリカ合衆国の公民権運動を率いた人物です。彼の生い立ち、そして彼がどのようにして非暴力抵抗運動の指導者になったのか、詳しく見ていきましょう。
幼少期と少年期
生誕: 1929年1月15日、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタで生まれました。父も祖父も牧師という家庭で育ち、幼い頃からキリスト教の教えに触れ、平等と正義の大切さを学びました。
天才少年: 非常に優秀な子供で、高校を飛び級してモアハウス大学に入学しました。
牧師への道: 大学時代から牧師になることを決意し、神学を学びます。
青年期と公民権運動への参加
モンゴメリー・バス・ボイコット: 1955年、アラバマ州モンゴメリーで黒人女性がバスの席を譲ることを拒否し逮捕されたことをきっかけに、バスボイコット運動が勃発。キング牧師は26歳という若さでこの運動の指導者となり、非暴力抵抗運動を組織します。
非暴力抵抗運動の提唱: マハトマ・ガンディーの非暴力抵抗運動に感銘を受け、アメリカにおける人種差別撤廃運動に非暴力の理念を導入しました。
南部キリスト教指導者会議 (SCLC) の設立: 1957年、南部キリスト教指導者会議 (SCLC) を設立し、南部における人種差別撤廃運動を組織的に展開します。
中年期と公民権法の成立
ワシントン大行進: 1963年、ワシントンD.C.で行われた大規模なデモ「ワシントン大行進」で、”I have a dream”(私には夢がある)という有名な演説を行い、世界中に大きな影響を与えました。
公民権法の成立: キング牧師の指導の下、非暴力抵抗運動は大きな成果を上げ、1964年に公民権法が成立します。
ノーベル平和賞受賞: 1964年、ノーベル平和賞を受賞。
晩年と暗殺
ベトナム戦争反対運動: 黒人問題だけでなく、ベトナム戦争にも反対し、平和運動を展開しました。
暗殺: 1968年4月4日、テネシー州メンフィスで暗殺されました。
キング牧師が残したもの
キング牧師は、単なる牧師ではなく、社会運動家として、そして思想家として、人々に深い影響を与えました。彼の非暴力抵抗運動は、アメリカだけでなく、世界中の公民権運動に大きな影響を与え、人種差別撤廃に貢献しました。
非暴力の力: 暴力に訴えることなく、平和的に社会を変革できることを示しました。
平等と正義: すべての人々が平等に扱われるべきという信念を貫き通しました。
愛と寛容: 相手の意見を尊重し、対話によって問題を解決しようとする姿勢を示しました。
キング牧師の「I have a dream」という演説は、今もなお人々に勇気を与え、平等な社会の実現に向けて多くの人々が行動を起こすきっかけとなっています。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(548)ウォルト・ディズニーの名言 The way to get started is to quit talking and begin doing.(実行あるのみ)
https://www.eionken.co.jp/note/walt-disney-h/
心に響く英語ことわざ(550)第二次世界大戦中に英国首相を務めたチャーチルの名言 Continuous effort – not strength or intelligence – is the key to unlocking our potential.(継続は力なり)
https://www.eionken.co.jp/note/winston-leonard-spencer-churchill-h/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
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著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英音研株式会社創業者・代表取締役
・米国系戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG東京オフィス)及びNTTデータ経営研究所において通算30年超のビジネスコンサルティング歴を持つ。BCGでは日本のみならず、米国・欧州企業向けに経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどを多数経験。NTTデータ経営研究所においては、グローバルビジネス推進センターのエクゼクティブコンサルタントとして、米国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、UAE、サウジアラビアなどにおける市場調査・輸出拡大戦略立案などに従事。
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語スピーキング脳を構築する効果的な学習方法も考案、英音研公式ブログに学習方法を投稿。
・趣味は米国の映画・ドラマを視聴して、米国人の価値観、文化、風習などを感じ取ること
・最近は、長年疑問に思っていたことや知りたいと思っていたことを生成AIに質問して、回答を読んで納得したりしている。これからの時代は膨大な知識データベースでもある生成AIへの質問力がポイントになると考えている。
・晴れていると、近くの小さな川沿いをウォーキングして、季節の移ろいを感じている。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など8冊がある。
Amazon.co.jp: 英音研株式会社: 本、バイオグラフィー、最新アップデート
・「シニアになって米国オンライン教育を受講してみた」シリーズとして9冊の書籍を発刊
「シニアになって米国の子供向け英語フォニックスのオンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け米国史オンライン教育を受講してみた」
「シニアになって米国高校生向け化学オンライン教育を受講してみた」など
・ビジネスコンサルティング技術関連の著書に「ビジネスコンサルティング技術・マインド体系」「新規事業アイデア創造の技術」「ビジネスレポートを書く技術」「ビジネスプレゼンテーションの技術」など14冊がある。
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