- 英語リスニングに強くなる!英音研公式ブログ / 205. 心に響く英語ことわざ1
公開日
2025.04.02
更新日
2025.08.04

心に響く英語ことわざ(496)フランスの哲学者のモンテーニュの名言 Saying is one thing and doing is another.(言うは易し行うは難し)
“Saying is one thing and doing is another.”
直訳は「言うことは一つ、行うことは別」で、似た意味のことわざに「言うは易し行うは難し」があります。
モンテーニュ(Michel de Montaigne)の名言 Saying is one thing and doing is another.の意味
この言葉は、人間が言葉で表現することと、実際にその言葉通りに行動することには、大きなギャップがあるということを示しています。
言葉と行動の乖離:
人間は、美しい言葉で何かを表現できても、それが必ずしも自分の行動に反映されるとは限らないということです。
実行の難しさ:
言葉で簡単に言えることでも、実際に実行に移すことは、困難を伴うことが多いことを意味しています。
誠実さへの問いかけ:
言葉と行動の一致が、その人の誠実さや信頼性を測る上で重要であることを示唆しています。
なぜこの言葉が重要なのか
この言葉は、私たちが日常的に経験する様々な場面で当てはまる普遍的な真理と言えるでしょう。
自己認識:
自分の言葉と行動の間に矛盾がないか、自己を深く見つめるきっかけとなります。
人間関係:
他者とのコミュニケーションにおいて、言葉だけでなく、行動で示すことの重要性を教えてくれます。
リーダーシップ:
リーダーは、言葉だけでなく、行動で示すことが求められます。この言葉は、リーダーシップ論においても重要な示唆を与えます。
まとめ
モンテーニュのこの言葉は、人間の本質的な一面を突いた、非常に深い言葉です。言葉と行動のギャップを意識し、より誠実に生きるための指針となるでしょう。
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似た意味の英語のことわざ
Actions speak louder than words. (行動は言葉よりも雄弁に語る。)
このことわざは、言葉よりも行動の方が、その人の本心や意図をよりよく表すということを意味しています。
It’s easy to say, but hard to do. (言うのは簡単だが、実行するのは難しい。)
これは、言葉で表現することは簡単でも、実際に実行に移すことは困難であることを表しています。
Talk is cheap. (言葉は安い。)
言葉で言うことは簡単で、コストがかからないが、行動に移すには努力が必要であることを意味しています。
Easier said than done. (言うは易し、行うは難し。)
上記の「It’s easy to say, but hard to do.」とほぼ同じ意味で、言葉で言うことと、実際に実行することのギャップを表しています。
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似た意味の日本語のことわざ
言うは易し行うは難し: このことわざは、モンテーニュの名言と最も近い意味を表しています。言葉で言うことは簡単でも、実際に実行に移すことは難しいということを表しています。
百聞は一見にしかず: これは、聞くよりも実際に見て体験することの方が、より深く理解できるという意味ですが、言葉で聞いたことと、実際に体験することの間にギャップがあることを暗に示しています。
口は災いの門: 何気なく言った言葉が、思わぬトラブルを引き起こす可能性があることを示唆しています。言葉の持つ力と、その責任について考えさせられる言葉です。
方便を弄する: 上手に言葉を選んで、自分の都合の良いように言うことを意味します。言葉で飾ったり、ごまかしたりする行為は、必ずしも真実を反映しているとは限りません。
絵に描いた餅: 計画や理想は素晴らしいものでも、実際に実行に移すのは難しいことを表しています。言葉の上での理想と、現実のギャップを示す言葉です。
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モンテーニュの生い立ち
ミシェル・ド・モンテーニュは、16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者であり、エッセイストです。彼の代表作である『随想録』は、人間の心の奥底を深く探求し、自己の内省を促すもので、今日でも世界中で読まれています。
生まれと家族
生まれ: 1533年2月28日、フランスのボルドー近くのモンテーニュ城で生まれました。
裕福な家庭: モンテーニュ家は、ボルドーで商業を営む裕福な家系でした。父親はボルドーの市長を務めるなど、社会的に地位の高い人物でした。
教育と青年期
ラテン語教育: 幼少期からラテン語を母語のように使いこなすよう教育を受けました。これは当時の貴族の子弟には一般的な教育法でした。
法曹の道: ボルドー大学で法学を学び、1557年にはボルドー高等法院の判事となります。
結婚と政治活動: 1565年に結婚し、二人の娘をもうけます。その後、ボルドー市長を2期務め、宗教改革の波の中でカトリックとプロテスタントの調停に尽力しました。
『随想録』の執筆と晩年
隠遁生活: 1571年、40歳の時に公職を辞し、モンテーニュ城に隠居。そこで、残りの人生を読書と執筆に捧げます。
『随想録』の執筆: 隠居生活の中で、自身の経験や読書から得た知見を元に、『随想録』を執筆し始めます。
改訂と出版: 『随想録』は生涯を通じて改訂を続け、1580年、1588年、1595年の3度にわたって出版されました。
晩年: スイスやイタリアを旅行し、様々な人々との交流を通じて、自身の思想を深めていきました。
没落: 1592年、ペストが流行し、モンテーニュも感染。一時は回復するものの、1592年9月13日に亡くなりました。
モンテーニュの思想
懐疑主義: 万事に対して疑いの目を向け、絶対的な真理は存在しないと考えていました。
人間中心主義: 人間そのものを深く探求し、人間の多様性や矛盾を肯定的に捉えました。
経験主義: 経験に基づいた知識を重視し、理論よりも実践を重視しました。
道徳と倫理: 道徳的な生き方や幸福について深く考察しました。
『随想録』の特徴
エッセイ形式: 自由な形式で、様々なテーマについて自分の考えを述べています。
個人的な体験: 自身の経験や読書体験を元に、率直に自分の考えを述べています。
多岐にわたるテーマ: 哲学、歴史、文学、宗教、政治など、幅広いテーマを取り上げています。
モンテーニュは、単なる哲学者にとどまらず、エッセイスト、道徳家、そして人間そのものへの深い洞察力を持つ思想家でした。『随想録』は、現代においても、自己理解や人間関係を考える上で、普遍的な価値を持つ作品として読まれ続けています。
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この記事もご覧ください。
心に響く英語ことわざ(495)「我思う、故に我あり」で有名なフランスの哲学者デカルトの名言 Doubt is the origin of wisdom.(疑うことは学ぶことなり)
https://www.eionken.co.jp/note/rene-descartes-c/
心に響く英語ことわざ(497)相対性理論を構築したアインシュタインの名言 The value of a man should be seen in what he gives and not in what he is able to receive.(与えるは、受け取るより、幸なり)
https://www.eionken.co.jp/note/albert-einstein-d/
英語リスニング脳構築のポイント「単語ごとの英音認識」と「意味の理解」ができるようになる学習法
https://www.eionken.co.jp/note/listening-english-recognition-understanding/
著者Profile
山下 長幸(やました ながゆき)
・英語リスニング教育の専門家。長年、英語リスニング学習を実践・研究し、日本人に適した英語リスニング学習方法論を構築し、サービス提供のため英音研株式会社を創業。
・英語関連の著書に「生成AIをフル活用した大人の英語戦略」「英語リスニング学習にまつわるエトセトラ:学習法レビュー」「なぜ日本人は英語リスニングが苦手なのか?」など17冊がある。
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